ビジネスにおいても、拒否しなくてはならないことは当然あります。
ただ、その断り方は重要であり、「お引き取り願います」もこれに関する表現と言え、これより解説したいと思います。
「お引き取り願います」とは?
「引き取り」とは、文字通り「(物を)引き取ること」という意味もありますが、直接的に表現すると角が立つため、隠語的に「立ち去ること」や「退去すること」という意味もあります。
一方「〜願います」は、「〜するようにお願いします」という依頼表現の1パターンです。
このフレーズの場合、「引き取るようにお願いします」か「立ち去るようにお願いします」のどちらの解釈でも可能に思えますが、「お引取り願います」のような場合には、通例「この場から立ち去って欲しい」という意味で使われると考えるべきです。
もし「物を引き取って欲しい」という意味で表現する場合は、「(〜を)引き取ってください」や「(〜を)引き取りに来ていただけますか」のような形で表現する方が自然です。
「お引き取り願います」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでこのフレーズが使用される場合は、相手に帰ってもらいたい場合です。
何らかの理由で相手に問題があって帰って欲しい場合と、単純に営業が終わっていたり、担当者が不在なので帰って欲しい場合が考えられます。
例えば、飛び込みの営業が事務所にやって来て追い返したい場合には、「特に必要なものもございませんので、お引き取り願います」のように用います。
一方、営業時間が終わっている場合には、「本日既に営業を終えておりますので、誠に失礼ながらお引き取り願いますといった形での使用があり得るでしょう。
相手に問題がある場合、適当な理由を付けてこのフレーズを用いることがありますが、あくまで言い訳としてであって事実である必要はありません。
「お引き取り願います」を使った例文
それでは上記以外に考えられる使用例を挙げてみたいと思います。
・『只今社長は不在ですので、お引き取り願います』
・『本日午後から臨時休業しており、申し訳ありませんが、本日のところは引き取り願います』
・『担当者は会うつもりがないと申しておりますので、ここはお引き取り願います』
「お引き取り願います」の言い替え
「相手に立ち去って欲しい」ということを、丁寧に伝えることで言い替えが成立します。
・「お帰りください」
尊敬表現による依頼表現「お〜ください」を用いて、相手に帰るように伝えます。
・「ご対応いたしかねます」
相手に「対応することが出来ない」という形で、相手に立ち去ることを求める表現です。
まとめ
「お引き取り願います」とは、丁寧に相手に立ち去って欲しいことを依頼する表現です。
文法的には「物を引き取って欲しい」という意味合いでの使用も不可能ではありませんが、通例この形では用いません。