ビジネスにおいては、多くの場合、様々な人とのつながりで成立しており、取引先や上司との関係はかなり重要です。
そんな人間関係の中で、「お引き立ていただき」というフレーズがよく使われていますが、ここではこの表現の意味や使い方について解説していきます。
「お引き立ていただき」とは?
まず「引き立てる」の意味から考えてみましょう。
「引き立てる」とは、「目上の人が自分を重用してくれる」ことを意味しています。
「お」は丁寧な表現にする接頭語であり、この場合の「いただく」は「〜してもらう」の謙譲表現をつくる補助動詞です。
つまり、全体として「自分を重用してもらって」を意味するかなり強い敬語表現となっています。
通例、世話になっている人や上司、場合によっては取引先に対して使う表現ですので、当然とも言えるかもしれません。
「お引き立ていただき」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
相手が世話になっている上司や取引先に対して使う表現だと既に解説しましたが、特に挨拶の場面で感謝の思いを伝える時に使われるフレーズです。
ですから、「お引き立ていただき」の後には、「感謝申し上げます」や「誠にありがとうございます」などの表現とセットになる傾向が見られます。
また、「重用してくれる」ほど人事に影響力があったり、決定権のある立場の人以外に使うとかえって失礼ですので、相手のポジションについてはしっかりと把握しておきましょう。
「お引き立ていただき」を使った例文
それでは、このフレーズを用いた実例を挙げてみます。
・『日頃からお引き立ていただき恐縮です』
・『この度は、責任ある立場にお引き立ていただき感謝申し上げます』
「お引き立ていただき」の類語を使用した言いかえ
「引き立てる」に該当する言いかえとしては、そのまま「重用する」でも可能ですが、やや直接的過ぎる印象があります。
目上の人からの心配りを意味する「ご配慮」「ごはいりょ」を使って、「ご配慮いただき」で良いでしょう。
「ご配慮」の代わりに「ご高配」「ごこうはい」を使うことも考えられますが、かなり強い敬語表現で、同じ社内での表現としては不適切とされることが多く、取引先からの重用の場合に限定すべきです。
「目をかける」や、ほぼ同じ意味の「ご愛顧」「ごあいこ」もしくは「ご贔屓」「ごひいき」での言いかえも可能です。
ただ、「ご愛顧」や「ご贔屓」は同じ社内で使う場合、単に「仲が良い」ことを理由とした情実人事の印象を与えかねないので、上司などに使う場合には、「目をかける」程度にとどめましょう。
この場合、「目をかけていただき」となります。
「いただき」の部分を別の表現とする場合、「あずかる」を使う手があります。
「あずかる」は「預かる」ではなく「与る」と表記するもので、「お〜にあずかる」で「目上の人から〜してもらう」という表現を用います。
「お引き立ていただき」の言いかえとしては、「お引き立てにあずかり」や「ご配慮にあずかり」、場合によっては「ご贔屓にあずかり」となるのです。
まとめ
「お引き立ていただき」は、上司や取引先から重用されていることについて感謝する場面で用いる敬語表現です。
相手が人事権や決定権を持っていない場合に使うとかえって失礼ですので、相手のポジションについてしっかりと把握してから使いましょう。