ビジネスでは、連絡の際に相手に用件をまず伝えることがマナーとして重要なポイントです。
今回の「お電話いたしました件」もそれに関わるフレーズであり、これより解説いたします。
「お電話いたしました件」とは?
まずこのフレーズは「お〜いたす」という、謙譲表現の典型的構文になっていることに気付く必要があります。
これを前提にした上で、文法的に分解してみましょう。
「お」は敬語表現を作る接頭辞で、今回は「電話」しているのが話し手ですから、「お電話」で謙譲表現を作っていることがおわかりになるかと思います。
その上で、「お電話いたし」が「お電話」に「する」の謙譲語「いたす」の連用形「いたし」が付いた形になっているのです。
連用形になっている理由は、その直後に来る丁寧表現を作る助動詞「ます」が活用語の連用形に付くためです。
同時に、「ます」自身もその後に付く過去や完了表現の助動詞「た」が連用形に付くため、連用形の「まし」になります。
「た」はその後に「件」という名詞が続くため、「連体形」となって、件までが「お電話いたしました」という形になっているわけです。
一方、最後の「件」は、取り上げる特定の事柄を意味します。
以上のことから、「お電話いたしました件」とは、「(これ以前に)電話をした事について」という意味の謙譲表現ということになります。
「お電話いたしました件」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズがビジネスで使用される場合は、先程も述べたように、この会話以前に相手に電話していて、それを前提に話を進めたい場合に使用されます。
具体的には、「先日お電話いたしました件で、再度ご連絡いたしました」などと使われます。
「お電話いたしました件」を使った例文
それでは上記の他に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『午前中にお電話いたしました件につきまして、ご回答いただければ幸いです』
・『先日お電話いたしました件、覚えていらっしゃいますでしょうか』
「お電話いたしました件」の類語による言いかえ
「お電話」についてはそのまま使用するしかないので、「いたしました」を「差し上げました」で代用する言いかえがまず考えられます。
一方、「件」については、シンプルに「事」や「内容」などで代用しましょう。
よって、「お電話いたしました件」は、「お電話さしあげた事」や「お電話さしあげた内容」などが言いかえ事例として挙げられます。
まとめ
「お電話いたしました件」とは、このフレーズ以前に相手に電話をかけたことについて触れたい場合に用いるフレーズです。