ビジネスにおいても、思い通りに上手くいかないことはよくあります。
「この度は残念に存じますが」もそのような場面でよく使われる表現であり、今回はこのフレーズについて解説いたします。
「この度は残念に存じますが」とは?
まず「この度」は、「このたび」と読み、意味は「今回は」となります。
この場合の「残念」は言うまでもなく、「期待や希望通りにならず心残りであること」や「心残り」より強めの「悔しいこと」の意味です。
また「存じます」は「思います」の謙譲表現であり、最後の「が」は逆接の接続助詞となっています。
つまり、全体としては「今回は期待通りにならず心残りですが」という意味の謙譲表現です。
尚、「が」の後は、順接的な意味で前の内容をそのまま受けた内容が続くことも昨今は多くなっています。
「この度は残念に存じますが」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスで「残念に思う」という使用例は、大きく分けて2つ考えられます。
まず考えられるのは、「断る」際に相手を気遣ったフレーズとしての使用です。
例えば、相手から会食の誘いを受けたにもかかわらず、スケジュールの問題で行けない場合にこのフレーズを用いて断ります。
「この度は残念に存じますが、次回もお誘いいただければ幸いです」といった形になります。
勿論、実際に「残念に思っている」かどうかは問わず、社交辞令として用いられることも多々あることは言うまでもありません。
不採用通知での使用などはこの典型例でしょう。
次に考えられるのは、そのまま「感想」としての使用です。
物事が上手くいかない場合に、純粋な個人の感情もしくは、通常関わる多くの人がそう思うであろう感想を表現しています。
例えば、天候の問題で催し物が中止になったケースなどでの使用が典型例でしょう。
「悪天候で社内運動会中止となり、この度は残念に存じますが、来年は無事に開催できることを祈っています」といった形になります。
「この度は残念に存じますが」を使った例文
それでは他に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『この度は残念に存じますが、またの機会をお待ちしております』
・『体調が優れないとのことで、同窓会に参加していただけず、この度は残念に存じますが』
「この度は残念に存じますが」の類語による言いかえ
既出の通り「この度」は「今回」で言いかえられます。
「残念」については、「遺憾」での代用が考えられます。
「遺憾」は「いかん」と読み、フォーマルな場面で「残念」の代わりによく使われますが、かなり堅い表現であり、冷たい印象を与えてしまうこともあります。
また、自分側の責任による「残念」なことについては、「残念に」の部分の言いかえとして「心苦しい」や「申し訳なく」での代用が考えられるでしょう。
「存じます」については、敬語表現としては弱くなりますが「思います」で足りる場面もあるはずです。
これらを踏まえた言いかえ例としては、「今回は遺憾に思いますが」や「今回は心苦しく思いますが」あるいは「今回は申し訳なく思いますが」が候補として挙げられます。
尚、「遺憾」を使った場合には、全体的に「堅い」印象で統一できるので「存じます」のままの方が適切と言えるかもしれません。
まとめ
「この度は残念に存じますが」は、断る場合や物事がうまく行かない場合の感想として「今回は残念に思う」という意味で用います。
社交辞令的な意味で用いることも多く、実際に残念に感じているかどうかは問いません。