電子メールがビジネスで必要不可欠な存在となってからかなり時間が経ちました。
多くのメールをやり取りするのは当然ですから、差出人と件名を見た瞬間に「何のことについてのメールなのか」判断できることは非常に重要です。
今回のフレーズも、その「件名」に主に関わるフレーズであり、詳しく解説いたします。
「ご依頼いただいた件」とは?
まず「依頼」の意味から押させておきましょう。
「依頼」とは、「用事を人に頼むこと」とされています。
そして、今回のフレーズは「ご(お)〜いただく」という、謙譲表現の定型構文が用いられていることも忘れてはなりません。
「(相手に自分が)〜してもらう」という意味の謙譲表現であり、ある「動作」を行うのは「目上の人」でありながら、その動作の恩恵を受ける主体を自分とすることで、謙譲表現が成立しています。
つまり、「ご依頼いただく」までで、「依頼してもらう」という意味の謙譲表現なのです。
尚、今回この「ご〜いただく」のパターン後には、過去や完了を意味する助動詞「た」が、「以前に話題になったこと」という意味の「件」を付けるために「連体形」として続いていますが、「た」は活用語の「連用形」に接続するため、「いただく」が「いただい」になっています。
ここで、「いただく」本来の連用形は「いただき」のはずですが、「いただきた」では発音しにくいということで、「き」が「い」に変化する、いわゆるイ音便変化をしていることにも注意しましょう。
以上を踏まえて「ご依頼いただいた件」というフレーズ全体の内容は、「(以前に)依頼してもらった話題について」という意味を謙譲表現にしたものとなります。
「ご依頼いただいた件」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
基本的にメールの件名に、そのメールの「趣旨」を、わかりやすくするために使います。
今回のフレーズを前提にすると、何らかの依頼を受けたことについて、その後に何か進展があったのか、あるいは問題があったのか、単なる進捗状況の報告なのか、いずれかの理由でメールを依頼主にしていることになります。
もちろん、件名だけでなく、メールの内容でも使うことはよくありますので、メールでは件名から本文にまでよく使用されるものと考えておきましょう。
また、電話などの口頭でも、「以前ご依頼いただいた件でお電話しました」などと使われることがありますので、必ずしも文章使用限定の表現ではありません。
「ご依頼いただいた件」を使った例文
それでは、実際に使用が考えられる例文を挙げてみましょう。
尚、今回の例文は、件名での例文だと「そのまま」になりますので、本文中に使用されるパターンを前提としています。
・『ご依頼いただいた件ですが、問題が発生しました』
・『ご依頼いただいた件につきまして、ご報告がございます』
「ご依頼いただいた件」の言いかえ表現とは
「ご〜いただく」謙譲表現構文は、「ご〜くださる」という尊敬表現の構文に言いかえることができます。
つまり、目上の相手による行為目線である「〜してくれる」という尊敬表現と、「(相手に自分が)〜してもらう」という謙譲表現は同じ意味と同じ敬語レベルの表現ということなのです。
このため、「ご依頼くださった件」とすれば、全体的な言いかえが成立します。
まとめ
「ご依頼いただいた件」とは、主にメールの件名で使用される、「依頼してもらったことについて」という意味の謙譲表現です。
また、メールの文中でも口頭でも使用されます。