ビジネスでは、相手に「支払ったこと」や「受け取った」ことを明示する必要があらゆる場面であります。
「ご領収ください」もそのような場面で使われるフレーズではありますが、あまり耳慣れない表現かもしれません。
今回はこのフレーズについて解説してみたいと思います。
「ご領収ください」とは?
皆さんは「領収書」や「領収証」という言葉はよく聞くかとは思います。
「領収」とはつまり「金品などを受け取ることや収めること」を意味しています。
そこで今回の「ご領収ください」を分析すると、敬語作成の接頭辞「ご」が漢語名詞「領収」に付いて、更に「くれる」の敬語表現「くださる」の命令形である「ください」が続く、いわゆる「ご〜ください」のパターンになっていることにお気付きでしょう。
このフレーズは、「〜してください」と相手に依頼する、典型的な尊敬表現パターンであり、今回もそれに該当していますので、「(金品を)受け取ってください」という、尊敬表現を使った依頼ということになります。
「ご領収ください」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
「領収」は基本的に「金品」を受け取るという意味ではあります。
ただ、領収証が基本的に「金銭」の受領を証明する証書であることからも、金銭のやり取りで用いるフレーズと考えて良いでしょう。
相手に対して「受け取ってください」と伝えているので、何らかの支払いを相手にする際に添えるフレーズです。
尚、祝い金などのやり取りには馴染まない可能性が高く、あくまでビジネス上の支払いに限った方が無難です。
また、「領収」という言葉は「領収書」以外ではあまり使わないので、積極的に使用するフレーズとは言えません。
「ご領収ください」を使った例文
・『先月分の支払いをご領収ください』
・『商品代金をご領収ください』
「ご領収ください」の類語による言いかえ
「金品を受け取る」という意味では、「受領」「じゅりょう」、「査収」「さしゅう」、「収受」「しゅうじゅ」、「受納」「じゅのう」などが類語として考えられます
この内、「収受」は「賄賂などを受け取ること」というマイナスイメージが伴う言葉であり、「受納」は「贈り物を受け取ること」という意味が強いため、言いかえに用いるのであれば、「確かめて受け取ること」という意味の「査収」や単純に「受け取る」を意味する「受領」が適当と思われます。
一方、相手が「してくれる」という意味合いのある尊敬表現「くださる」の命令形「ください」を用いた表現ではなく、自分が「してもらう」という謙譲表現「いただく」を用いた「ご〜いただく」パターンで言いかえることも可能です。
この場合、「ご領収いただく」ことを望むという構図になりますから、「ご領収いただきたく存じます」などと言いかえれば良いでしょう。
まとめ
「ご領収ください」とは、相手に金銭の支払いをする際に添えるフレーズです。
一般的にはあまり使われないので、積極的な使用は避けたほうが良いかもしれません。