ビジネスでは、相手に失礼のないように振る舞うのがマナーの基本です。
ただし、明らかに相手に非がある場合には、丁寧でありながらも厳しい表現をする必要があることは言うまでもありません。
今回の「しかるべき処置をとらせていただきます」もその一例であり、これより解説していきます。
「しかるべき処置をとらせていただきます」とは?
「しかるべき」とは、「そうするのが当然である」という意味です。
「しかる」は漢字を使って表記すると「然る」であり、これは「そうである」という意味の動詞「然り」の連体形です。
それに「〜するべき」という意味の助動詞「べし」の連用形「べき」が付いた形であるため、「そうであるべき」という直訳になり、つまり「そうするのが当然だ」という意味になっています。
一方「処置」は「しょち」と読み、意味は「判断して物事の取り扱い方を決めること」や「手当すること」です。
また、最後の「とらせていただきます」は、「遠慮しつつも〜させてもらう」という謙譲表現を成す、いわゆる「させていただく」構文です。
よって、フレーズ全体の意味は、「当然の処置をとらせてもらいます」という意味の謙譲表現となります。
「しかるべき処置をとらせていただきます」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズは、相手が果たすべき義務を果たさない場合に、それを果たさせようという「強い催促」の目的で使用されます。
つまり、「義務を果たさないのであれば、当然の対抗手段を取りますよ」という表現で、一応謙譲表現で相手に配慮しながらも強く催促しているというわけです。
言うまでもなく、このフレーズの前には、義務を果たすように通告する内容が記載されるのが通例です。
「しかるべき処置をとらせていただきます」を使った例文
それでは、このフレーズを用いた実際にあり得る使用例文を挙げてみましょう。
・『期日までにお支払いいただけない場合には、しかるべき処置をとらせていただきます』
・『債務が履行されなければ、しかるべき処置をとらせていただきます』
「しかるべき処置をとらせていただきます」の類語による言い替え
「しかるべき」については、「適切な」や「相応の」と言った表現が言い替えとして考えられます。
「処置」については、「対応」や「手段」、または「解決のための処置」を意味する「措置」「そち」などで代用しましょう。
「とらせる」の「とる」については、「適切な方法をとる」という意味の「講じる」が言い替えとして適切です。
以上のことから、「適切な対応を講じさせていただきます」や「相応の措置を講じさせていただきます」が、このフレーズの言い替え表現として考えられます。
まとめ
「しかるべき処置をとらせていただきます」とは、相手が何らかの義務を果たさない場合、「(義務を果たさないのであれば)、適切な対応を講じますよ」と、相手に丁寧ながらも催促する意図のあるフレーズです。
このフレーズの前に、具体的に義務を果たすように伝える内容が通例存在します。