英語に進行形があるように、日本語にも進行形があります。
「作っているところです」は、そのような進行形の一例であり、これより解説いたします。
「作っているところです」とは?
まず文法的にこのフレーズを分析することから始めましょう。
「作る」の連用形「作り」に接続助詞「て」が付く形は、本来の「り」が「っ(小さい『つ』)」になる促音便と呼ばれる形で「作って」になります。
また接続助詞「て」と動詞「いる」が付く形は、ある動作や作用が持続し繰り返していることを表現します。
言いかえれば「ている」の形は進行形と言えるわけです。
つまり、「作っている」という部分は、「作る」の進行形を意味しているのです。
さて、次に問題になるのは「ところ」になりますが、これは場所を意味する「ところ」ではなく、「丁度その時」という時間や場面的意味合いで使われています。
最後の「です」は、丁寧な断定表現を作る助動詞「です」で意味もそのままのため、フレーズ全体としては、「丁度今作っている最中です」という意味合いになります。
同じ進行形を意味する表現ですが、「作っています」よりも「作っているところです」の方が、「まさに今」という意味合いが強い表現です。
「作っているところです」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズがビジネスで使われる場面は、誰かに進捗状況、つまり進み具合を尋ねられている場面と考えられます。
また「作っている」というフレーズから、何かを製作中であり、尋ねた人はその製作を依頼した人ではないかという推測も成り立ちます。
そしてこの返答フレーズは、「丁度今作っている最中です」という意味だと先程説明しましたが、更に別の意味が「餡に含まれている」ことに注意が必要です。
つまり、「今まさに製作進行中なので、取り敢えずお待ちください」という意味合いが暗に含まれています。
同じ進行形で「作っています」も成立しますが、こちらが単なる進行形を意味しているのに対し、「作っているところです」には、完成を待っている人への、待ってくれるように頼む「お願い」や予定が遅れていることへの「言い訳」または軽い「謝罪」が込められているのです。
具体的事例を挙げてみましょう。
あなたが飲食店で注文した料理がなかなか出てこない場合、ウエイターやウエイトレスに「まだですか」と尋ねると、「ただ今作っているところです」と返答された場合を考えればわかりやすいのではないでしょうか。
これが単に「ただ今作っています」では、「進行」以外の他の要素がほとんどなくなってしまいます。
「作っているところです」を使った例文
それではこのフレーズを使った他の例文を見てみましょう。
・『丁度今作っているところですから、もう少々お待ちください』
・『その件ならまさに今作っているところですので、ご安心ください』
「作っているところです」の言いかえ表現
これまで説明してきたこのフレーズの意味を考えると、「進行」だけではく、「まさに丁度今」、「お願い」、「謝罪」、「言い訳」などの要素も含まれている必要があります。
そうなると、「まさに丁度今作っている最中です」がもっとも合致する言いかえと言えるでしょう。
まとめ
「作っているところです」は、進行形であるだけでなく、「まさに丁度今」という要素が入っています。
そして、暗に「もうちょっと待ってください」という意味合いも含まれている傾向があるのです。