ビジネスメールなどで「取り急ぎお礼とさせていただきます」という文を見ることがあります。
正しい言い回しなのでしょうか?詳しく見てみましょう。
「取り急ぎお礼とさせていただきます」とは?
「取り急ぎ」は、「とりあえず急いで」「間に合わせで」という意味です。
今は時間がないので、とりあえず省略して何かをしなければならない、という状況の時に使用されます。
「お礼とさせていただきます」は、「させていただく」は「させてもらう」の謙譲表現となり、「今は時間がないため、省略した内容ですが、以上をもってお礼にします」という意味です。
「取り急ぎお礼とさせていただきます」のビジネスメールや会話での使い方や使われ方、使うときの注意点
では、「取り急ぎお礼とさせていただきます」はどのように使うのがよいのでしょうか。
ビジネスシーンにおいては、今は時間がなくて正式なお礼はできないが、すぐにお礼、感謝の意を伝えることだけはしたいので、略儀ではあるがメールで感謝の気持ちを伝える文(この度はありがとうございました、など)とともに、締めの部分に使う表現となります。
「取り急ぎ」は便利な言葉ではあるのですが、その使用には注意が必要です。
なぜなら、「取り急ぎ」は急いで用件だけを伝える時に使用するものであり、ルールを守っていなかったり、礼儀を欠いたりしているところがあるかもしれないが、大目にみてください、というニュアンスを含むからです。
お礼というものは、急いで、間に合わせでするものではありません。
目上の人や、社外の人にお礼を伝えたいという場合には向いていない表現となりますが、もしどうしても使用しなければならない時には、後で改めて感謝の気持ちを伝える手紙、メールを送りましょう。
もしくはその後会う機会があるならば、直接口頭でお礼を伝えましょう。
「取り急ぎ」を使用するのは、緊急の連絡、報告を社内の人、同僚や部下に伝える時に留めておくのが賢明と言えます。
「取り急ぎお礼とさせていただきます」を使用した例文
『本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございました。取り急ぎお礼とさせていただきます』
『突然の訪問にも関わらず、お話いただきありがとうございました。取り急ぎお礼とさせていただきます』
「取り急ぎお礼とさせていただきます」の類語や言い替え
では、「取り急ぎお礼とさせていただきます」を別の言葉で言い換えるならばどのようなものがあるのでしょうか。
「取り急ぎ」を「まずは」や「略儀ながら」に替えることができます。
「お礼とさせていただきます」は、「お礼申し上げます」とすることもでき、より省略した形にするならば「お礼まで」とすることもあります。
まとめ
「取り急ぎお礼とさせていただきます」は、今は時間がないため、正式な形でお礼を言えないが、とりあえず簡単にお礼します、ありがとうございます、ということを伝える文章です。
間に合わせで、というニュアンスを含むので、失礼だと感じる人もいるため、使用には注意が必要です。
もしどうしても、という時は後で正式なお礼のフォローメールを送るようにします。
「取り急ぎ」という言葉を使うのは、社内の人への連絡、報告に限定しておきましょう。