ビジネスは信頼関係によって成立しています。
そのため、自分側と相手側で問題が発生しないように、常に意思疎通を図る必要があります。
「無事に納品されておりますでしょうか」というフレーズも、その信頼関係の確認作業の一環と言え、これより解説いたします。
「無事に納品されておりますでしょうか」とは?
「無事に」の意味は、文字通り「何事もなく」という意味で、「トラブルの発生がない」という様子を表します。
「納品」は、「(頼まれた)品物を相手側に届けること」であり、自分で直接運ぶ場合もあれば、運送会社のような他人に頼んで運んでもらうこともあります。
また、「されて」は「する」の未然形「さ」に、受け身表現を作る助動詞「れる」の連用形「れ」が付き、更にそこに接続助詞「て」が続いた形であり、意味はそのまま「されて」です。
当然ながら、品物は人によって届けられるので「納品されて」という受け身の形となっている訳です。
さて、次の「おります」については、いわゆる「丁重表現」と呼ばれる、一般的な謙譲表現とは若干異なった意味合いを形成していることに注意が必要です。
文化庁が定めるところの、いわゆる謙譲表現Ⅱと呼ばれるパターンと言うこともできるでしょう。
文法的には、「いる」の謙譲表現「おる」の連用形「おり」に、丁寧表現の助動詞「ます」の連体形が付いた形であり、一般的な謙譲表現のように「動作の向かう相手」を高めるためではなく、話の聞き手に配慮した表現です。
意味的には「います」を更に丁寧な表現にしたものと考えてください。
最後の「でしょうか」は、丁寧な断定助動詞「です」の未然形「でしょ」に推量の助動詞「う」の連体形が付き、最後に疑問の終助詞「か」が続いている形です。
こちらも意味はそのまま「でしょうか」と、「ですか」をより相手に配慮した柔らかい疑問の形になっています。
以上のことから、「無事に納品されておりますでしょうか」というフレーズは、「トラブルもなく納品されていますか」という意味内容を丁寧に表現したものと言えます。
「無事に納品されておりますでしょうか」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが出てくる大前提として、自分達で直接納品すれば相手に確認する必要はなく、運送会社など他者に輸送を依頼した場合と考える必要があります。
その上で、このフレーズが使用されるのは、商品や品物の到着の確認が必要なケースです。
頼まれた商品が届かなければ信用に関わりますし、何らかの対応が必要になるためです。
また、売上の確定は、通常相手が納品された商品を検収して成立することが多く、いつまでもその情報を受け取らないと、売上確定にも問題が生じますので、事実上催促のために「確認」を求めることも考えられます。
「無事に納品されておりますでしょうか」を使った例文
それでは、幾つか例文を挙げてみましょう。
・『連休で高速道路が渋滞していたようですが、無事に納品されておりますでしょうか』
・『ご注文商品は既にそちらに到着したものと考えておりますが、無事に納品されておりますでしょうか』
「無事に納品されておりますでしょうか」の類語による言いかえ
「無事に」は「問題なく」、「納品」は「納入」で言いかえられます。
「おります」については、丁寧表現のレベルを若干落とした「います」でも、特に問題はないでしょう。
以上のことから、「問題なく納入されていますでしょうか」という言いかえが成立します。
まとめ
「無事に納品されておりますでしょうか」は、納品先にトラブルなしの商品到着確認を求めるためのフレーズです。