ビジネスシーンでは、普段の生活ではまず目にすることのない表現に出くわすこともあります。
「相ならず」もその典型例と言え、これより詳しく解説いたします。
「相ならず」とは?
「相ならず」は「あいならず」と読み、動詞「相なる」の未然形「相なら」に、否定の助動詞「ぬ(ん)」の連用形「ず」が付いた形のフレーズです。
基本的に「相なる」とは、動詞「なる」に、接頭辞「相」が付いたもので、かしこまった表現にするために用いられる表現であり、意味自体は「なる」と同じです。
しかしながら、「相ならず」のような否定的な表現になると、意味は「〜してはいけない」という「禁止」の意味になるのです。
当然これは「相」のない「ならず」でも同じですので、「禁止」のかしこまった表現ということでもあります。
尚、最後の「ず」は文末であれ連用形のままですが、これは禁止を命令的に伝えるため(「ぬ」に命令形の活用はない)であり、「〜することは出来ない」という意味の「べからず」のように、禁止の他の形でも見られます。
「相ならず」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
かなりかしこまった表現ですので、基本的には文章中で禁止事項について触れる場合に用います。
具体例としては、「出張中は観光することは相ならず」のように用います。
いずれにせよ、かしこまった形である上に、かなり古めかしい表現であるため、一般的には通じない可能性も高く、使用する相手や場面は限定的であると考えられます。
「相ならず」を使った例文
それでは、他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『会議中の飲食は相ならず』
・『取引先であっても、社内の決定事項を伝えることは相ならず』
「相ならず」の言い替え
「〜してはいけない」という意味合いの表現で代用します。
・「〜べからず」
こちらもかなり古い表現ですが、動詞の終止形に付いて「〜することは出来ない」という、可能の否定の意味合いがある禁止フレーズです。
・「〜厳禁」
通常名詞や名詞的扱いの活用語に付き、「絶対に〜してはいけない」、「絶対に〜という状態にしてはいけない」という意味のフレーズになります。
よくあるのは「火気厳禁」や「土足厳禁」です。
まとめ
「相ならず」とは、「〜してはいけない」という禁止の命令を意味するフレーズです。
「相」は、続く言葉をかしこまった形にするための接頭辞となっています。