ビジネスシーンにおいては、たまにほとんど見たことも聞いたこともないような表現を目にすることがあります。
「軽暖の候」という表現もまた、そのようなものの1つかもしれません。
ここでは、「軽暖の候」というフレーズについて詳しく解説いたします。
「軽暖の候」とは?
「軽暖の候」は、「けいだんのこう」と読みます。
「軽暖」は文字通り、「軽度に温かい」ということを意味しており、「候」は「時季」「じき」や時節「じせつ」を意味しています。
全体の意味としては、「少しずつ気温が上がってきた季節となりました」というような感じで捉えれば良いでしょう。
通常は季節が冬から春に移る3月中に使う表現となっています。
「軽暖の候」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
一般的に、「軽暖の候」という言葉が出てくるのは、メールや挨拶文において、冒頭の部分でよくある定型の季節の挨拶表現だと考えてください。
つまり、3月で徐々に暖かくなってきた頃に出すメールや手紙で、冒頭に用いる決まり文句なのです。
昨今では春から気温が上がることが多くなっており、使用時期は3月上旬から中旬が適切という解説もありますが、明確な定義がないためそこまでこだわる必要はないでしょう。
気温の状況などを確認しながら、寒くなく、かと言って完全に暖かくもない状況で使用します。
また、見ての通り「軽暖の候」はかなり堅くフォーマルな表現ですから、使用する相手は一定の年齢層以上であることが望まれますし、文章全体も文語調の堅い表現であることが一般的です。
同時に、内容もかなりフォーマルな文章に用いるのが適切です。
実際に「軽暖の候」が使われる場合は、冒頭の「拝啓」「はいけい」とセットで用いられることが通例となっています。
「軽暖の候」を使った例文
それでは、「軽暖の候」を用いた実例を見てみましょう。
・『拝啓 軽暖の候、ご健勝のことと存じますが、いかがお過ごしでしょうか』
・『拝啓 軽暖の候、貴社におかれましては、ますますご多忙のことと存じます』
これらのようなケースが考えられますが、「拝啓」を冒頭に用いる場合には、締めが「敬具」「けいぐ」や「敬白」「けいはく」などの言葉とセットになっていることを忘れないようにします。
「軽暖の候」の類語を使った言いかえ
「軽暖の候」は基本的に3月中に用いる表現ですので、似たような時季を意味する言葉や表現で置きかえ可能です。
「軽暖の候」同様の堅い表現であれば、「仲春の候」「ちゅうしゅんのこう」がまず考えられます。
この場合3月5日前後から4月5前後を指します。
やや軽めの文章であれば、「春の訪れを徐々に感じるようになってきました」や「春の気配を感じるようになってきました」などの表現でも代用可能です。
まとめ
「軽暖の候」は、基本的に「拝啓」とセットで3月中の冒頭の挨拶に用いる定型表現です。
使用時期は3月の上旬から中旬に限るという解説もよく見ますが、一般的には3月中であれば極端に気にする必要はありません。
相手の居住地域の気温状況などに応じて柔軟に対応しましょう。
かなり堅い表現ですので、使用する相手や内容、他の文章とのバランスに注意が必要です。