ビジネスでは、できる限りミスは避けたいものですが、残念ながら一定のミスは避けられない側面があります。
そんな事態を想定した表現の1つが、「ご指摘ください」というフレーズです。
ここでは、そのフレーズについて、詳しく解説していきたいと思います。
「ご指摘ください」とは?
「指摘」は「何らかの問題のある所を取り上げて指し示す」ことです。
一方、「ご指摘」の「ご」は、名詞の頭に付いて丁寧表現にする接頭辞となっています。
また、「ください」は、「ご」を伴った名詞(漢語)に付いて、その名詞の内容を相手にしてもらいたいという意味を作り出す敬語表現の補助動詞です。
わかりやすく他の実例を出すと、「ご教授ください」などが該当します。
つまり、全体としては、「問題箇所があれば示して欲しい」という意味の敬語表現になります。
「ご指摘ください」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでは、基本的にミスは許されません。
ただ、残念ながらミスに自分では気付かないこともあるので、その場合には「気兼ねなく指摘してもらいたい」という意図が込められているのが「ご指摘ください」というフレーズなのです。
当然、「きちんとチェックしたつもりだが、もしミスがあったら申し訳ない」という、条件付き謝罪の意図も暗に含まれていることは言うまでもないでしょう。
一方で、場合によっては相手に無責任だという印象を与えかねないので、その点は気を付けるべきです。
また、敬語表現ではありますが、相手に要求している形式であるため、「上から目線」の表現であるという側面も否定出来ません。
目上の相手や取引先相手に使用する場合には注意が必要です。
「ご指摘ください」を使った例文
具体的な使用例を以下に挙げてみます。
・『万が一契約内容に間違いがございましたら、遠慮なくご指摘ください』
・『数値については精査しているつもりではありますが、問題があればなんなりとご指摘ください』
「万が一」や「遠慮なく」、あるいは「なんなりと」という言葉と共に使用されるパターンが多くなっていることに留意しましょう。
「ご指摘ください」の類語による言いかえ
「指摘」と全く同じ意味を表す言葉は、残念ながらありません。
そこで、「教え示す」という意味の「教示」「きょうじ」を用いて、「問題点をご教示ください」といった、具体的な表現にする方法が考えられます。
また、敬語表現として弱いと考えるならば、「ご指摘」はそのまま活かした上で、「ご指摘いただければ幸いに思います」や「ご指摘いただきたく存じます」、更に「ご指摘くださいますようお願い申し上げます」などと、敬語表現を強調して言いかえるのも良いでしょう。
まとめ
「ご指摘下さい」は、「問題点を遠慮なく伝えてほしい」というストレートな意味があるとともに、間違いがあった場合の謝罪を事前にして、相手の感情を和らげる意図もあります。
また、敬語表現とは言え、相手に要求する性質もあるフレーズなので、目上や取引先を相手に使う場合、敬語表現を強めるなどの工夫が必要になるケースもあり得ます。