ビジネスの世界では、近い未来であっても、不確実なことはよくあります。
簡単に何か約束してしまうと、いざ約束が守れなくなった場合に相手の信頼を失うことになるのは当然です。
「参加させていただきたいと思っております」は、そんな事態を避けるための表現の1つであり、これより詳しく解説していきたいと思います。
「参加させていただきたいと思っております」とは?
「参加させていただく」とは「参加させてもらう」の謙譲表現です。
一方で、「『〜させていただく』は敬語表現として二重敬語になり不適切である」という解説を見たことがあるかもしれません。
しかし、「〜させていただく」は、「事前に相手に許可をもらって、自分のためにする行為」には使える敬語表現なのです。
この場合、相手が参加を許可していて、自分も参加したいと思っているので、使用に全く問題はありません。
「いただきたい」という表現は、「させていただく」の願望表現であり、「思っております」は「思っています」の強い敬語表現であるとともに現時点での見通しや考えを意味しています。
つまり全体としては、「(現時点では)参加させてもらいたいと考えています」という意味になるのです。
「参加させていただきたいと思っております」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが用いられる場合は、返信や返答相手は取引先や目上の人であるケースが強く想定されます。
この場合、簡単に「参加させていただきます」とすると、万が一参加できなかった場合には、約束を守れなかったことについて深く謝罪する必要があります。
しかし、「参加させていただきたいと思っております」としておけば、事前に「基本的に参加したいのですが、場合によっては参加できないことも想定しておいてください」という意図を伝えているのと同じです。
つまり、万が一約束を守れなかった場合に備えた表現でもあるのです。
「参加させていただきたいと思っておりますが、スケジュールが現時点で流動的なため、場合によっては参加できないおそれもあります」
というような形で、参加が不可能な場合の理由などとともに、具体的に参加できない可能性について触れることもできます。
「参加させていただきたいと思っております」を使った例文
具体的には以下のような表現が考えられます。
・『ご案内いただきましてありがとうございます。現時点では参加させていただきたいと思っております』
・『できる限り参加させていただきたいと思っておりますが、万が一参加できない場合にはご容赦いただけると幸いです』
「参加させていただきたいと思っております」の類語を使った言いかえ
「参加」は「出席」や「隣席」「りんせき」、あるいは「列席」「れっせき」などで代用可能です。
また、「参加」を「行く」や「訪問」「ほうもん」の意味だと考えれば、「参る」を用いて、「参らせていただきます」という強い謙譲表現も可能でしょう。
「思っております」を「所存です」という謙譲表現にすれば、「参らせていただく所存です」といった、かなり形式ばった敬語表現もできます。
まとめ
「参加させていただきたいと思っております」は、「現時点では参加したいと思っていますが、もし参加出来ない場合にはお許しください」という意味のビジネスフレーズです。
具体的に参加できなくなるようなケースについて触れたり、参加できない場合に備えて事前に謝罪しておくフレーズを付けて表現することもできます。