ビジネスでは時間に追われることも多く、そのような状況にある相手への配慮を怠ることは出来ません。
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」もそのような場合に用いるフレーズであり、これより解説いたします。
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」とは?
「お忙しいかと存じます」とは、「思う」の謙譲表現「存じる」を使用した、「忙しいのではないかと思います」という内容の表現です。
続く「ので」は、この前に述べられた内容を理由として、続く内容が当然の結果となる場合に用いる順接の接続助詞です。
また、「ご返信」は手紙やメールなどの返答としての「返信」に、尊敬表現の接頭辞「ご」が付いています。
一方、「及びません」については注意が必要です。
「及ばない」という否定の形で、「〜する必要がない」という意味になるからです。
今回は「及ぶ」の連用形「及び」に、丁寧表現の助動詞「ます」の未然形「ませ」と否定の助動詞「ん」の終止形もしくは連体形が続く否定の形を取っていますから、「〜する必要がありません」という内容になります。
以上により、このフレーズ全体としては、「お忙しいのではないかと思いますから、返信は不要です」という意味になります。
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
相手の置かれた忙しい状況に配慮し、メールの返事が要らないことを伝えるためのフレーズです。
手紙の返信についても使えますが、現在ではほぼメールのやり取りと考えて良いでしょう。
ただ、実際に相手が忙しいかどうかはほとんど関係なく、出したメールの内容の重要度が低い場合に使用するためのフレーズと言えます。
その意味では、「お忙しいかと存じますので」の部分は、「返信が必要ない」ことを表す際に自動的に付属するフレーズと考えることも可能です。
もちろん実際に相手が忙しいと思われる場合に、真意として表現されることもあり得るため、内容そのものを否定するものではありません。
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」を使った例文
それでは、実際の使用例を以下に挙げてみましょう。
・『季節柄お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません』
・『色々とお忙しいかと存じますので、ご返信には及びません』
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」の言い替え
相手の状況に配慮し、返信が要らないことを伝えられるかが言い替えのポイントです。
・「ご多忙中と思われますので、ご返信は不要です」
忙しい状況を「多忙」「たぼう」を用いて表現しています。
敬語表現としてはやや軽めです。
・「ご多用と拝察しますので、ご返信は結構です」
多忙と同じ意味の「多用」「たよう」を用い、「推測」という意味の謙譲表現「拝察」「はいさつ」で「忙しいと推測します」と表現しています。
また「結構です」の「結構」「けっこう」は、「それ以上必要ない」という意味ですので、「不要」の代用になります。
まとめ
「お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません」とは、相手の状況を配慮し、主にメールの返事が必要ないことを伝えるためのフレーズです。
実際に相手が忙しいかどうかは関係なく、送ったメールの重要度がそれほど高くない場合に用いる表現です。