ビジネスでは相手に問い合わせることは常日頃からありますが、「あるでしょうか」もそのような場合に頻出するフレーズです。
わかりやすいフレーズではありますが、これより詳しく解説いたしますので、最後までお付き合いください。
「あるでしょうか」とは?
このフレーズの意味は、見たままの「あるでしょうか」で、対象物のあるなしを「ある」という観点から尋ねています。
また、「でしょうか」は「だろうか」の丁寧表現です。
ただ、これだけではあまりに雑ですので、「でしょうか」の部分を文法的にもう少し詳しく見てみましょう。
断定の助動詞「だ」の丁寧表現「です」の未然形は「でしょ」です。
さらに、「推量(〜だろう)」の意味を加える助動詞「う」は助動詞の未然形に付きますから、この2つが合体すると「でしょう」になります。
最後の「か」は疑問の意味を表す助詞の「か」であり、「連用形」に付きますから、前の「でしょう」の「う」は連用形です。
因みに助動詞「う」は無変化型という活用変化しない助動詞ですので覚えておくと良いでしょう。
先程「でしょうか」は「だろうか」の丁寧表現だと説明しましたが、助動詞「だ」の未然形は「だろ」なので、後は同じ構造なのです。
そして、この「でしょうか」が動詞「ある」の連体形「ある」に付き(「です」は体言に付くため)、「あるでしょうか」となっています。
これが「あるでしょうか」の文法的な全体構造です。
「あるでしょうか」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
相手に「ある」という前提で「あるか」を丁寧な表現で尋ねています。
ビジネスでよくあるのは、「在庫確認」のためにこのフレーズを使うことです。
「◯◯という商品あるでしょうか」などと、客の立場からも使ったことがあるはずです。
一方、案外よくある他の使用パターンとしては「時間の有無」です。
相手が自分のために割く時間があるかどうかを、「お時間あるでしょうか」などと尋ねます。
これは自分のために時間を取らせることに対する配慮なのです。
「あるでしょうか」を使った例文
それでは、他に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『この列車に空席はあるでしょうか』
・『時間に余裕があるでしょうか』
「あるでしょうか」の類語による言いかえ
「ある」の一般的な言いかえが極めて難しいため、「ある」自体は言いかえでもそのまま用いるのが適切です。
そうなると、「でしょうか」という部分をどう言いかえるかということになります。
この場合は、「あるか」ということを丁寧表現にしているという本質を重視し、同じ丁寧表現の1つである助動詞「ます」を用いて、「ありますか」がもっとも適切な言いかえと言えるでしょう。
尚、よく耳にする「ありますでしょうか」は、「ます」と「です」がともに丁寧表現を作る助動詞であり、「ある」にともにかかるため、二重敬語になってしまいますので表現としては誤用となります。
まとめ
「あるでしょうか」というフレーズは、ビジネスでは在庫確認や相手に時間を割いてもらう場合の配慮表現として利用されます。