質問されれば、それに対して誠実に答えることがビジネスマナーの基本です。
しかし、わからない場合にはいい加減なことを言えませんし、何らかの理由で答えない方が良いこともあります。
そのような時に使われるフレーズである、「お答えすることができません」について解説してみましょう。
「お答えすることができません」とは?
このフレーズを文法的に分解してみましょう。
「お答えする」は、「答える」の謙譲表現であり、この場合は「こと」の具体的内容として連体形になっています。
「できません」は、動詞「できる」の連用形「でき」に、丁寧表現の助動詞「ます」の未然形「ませ」が付き、最後に打ち消しの助動詞「ぬ」の終止形もしくは連体形の1つ「ん」(「ませ」の付く時は「ん」になるため)が続いた形です。
以上のことから、フレーズ全体として、「答えられない」ということを謙譲表現を用いて丁寧に表現したものです。
「お答えすることができません」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスで使用する場合には、「わからないので答えられない」か、「都合が悪いので答えられない」のか、いずれかの理由で使用されます。
前者であれば、「故障の原因についてお問い合わせいただきましたが、はっきりとしたことがわからず、現時点でお答えすることができません」と言った形で使用されます。
一方、後者の理由で使われる場合には、「あらゆる状況を考慮した結果、現状お答えすることができません」のような形で使用されることが考えられます。
いずれにせよ、「答えられない」ということは、相手に不信感をもたらす恐れがあるので、特にビジネスでの安易な使用はやめましょう。
「お答えすることができません」を使った例文
それでは上記以外の例文を挙げてみましょう。
・『担当者が不在のため、お答えすることができません』
・『諸事情により、残念ながらお答えすることができません』
「お答えすることができません」の言いかえ表現
「(質問や問い合わせに)答えられない」ということを、謙譲且つ丁寧な表現で伝えるということがキーポイントとなります。
「お答えする」を「回答いたす」にし、「〜することが難しい」という意味の「しかねる」も利用した、「回答いたしかねます」が、言いかえ表現候補の有力候補となります。
また、「可能性の否定」要素はなくなりますが、「回答を控えさせていただきます」も、類似表現と言えるでしょう。
まとめ
「お答えすることができません」とは、「わからない」か「都合が悪いか」のどちらかの理由で、問い合わせや質問に答えられない場合に用いるフレーズです。
どの理由であれ、相手に不信感を与えかねないので、できる限り使用を控えましょう。