会議で司会進行を務めるケースはビジネスシーンではよくあります。
「まとめさせていただきます」というフレーズも、そのような場面で頻出しますので、今回はこれについて解説いたします。
「まとめさせていただきます」とは?
見た感じで大まかな意味は理解できるフレーズですが、文法的に解説いたします。
「まとめる」は「散らばったものを整った状態にする」という意味です。
これは、「ごみをまとめる」というような意味で使われることもあれば、「意見をまとめる」という抽象的な意味で使われる場合もあり、ビジネスで頻出するのは後者の意味です。
更に、「まとめる」が「1つにまとめる」という意味なのか、「整理整頓する」という意味なのかは状況によります。
さて、文法的な意味で敬語表現として問題になるのは、「させていただく」の連用形である「させていただき」の部分です。
昨今、何にでも「させていただく」が使われるため批判もあり、行政機関である文化庁が1つの指針を出しています。
それは、「相手か第三者の許可を得て」「自分のためにする」両方の条件を満たす行為については、「させていただく」を使って良いというものです。
これを基準に今回の件について考えてみると、「何らかの権限を与えられて」「自分のためにまとめる」場合に「させていただく」ならば問題ない謙譲表現ということになります。
「まとめる」役割は参加者から明示されていなくても与えられていると推測できますが、「自分のために」まとめるかどうかは微妙なところです。
ただ、役割を遂行することが自分のために全くならないということにもならず、概ね「問題ない使用場面」であるとは言えるでしょう。
同時に、「させていただく」という謙譲表現を使うほどでもないということもまた言えそうです。
そして最後の「ます」は、活用語の「連用形」について丁寧表現を作る助動詞「ます」となっていますので、全体的な意味は「(意見を)謹んでまとめます」ということになります。
「まとめさせていただきます」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが使われるのは、会議などの意見を述べ合う場です。
ある程度時間が経過し、様々な意見が出た後で、それらの意見の集約化を図る際に用いられると考えて良いでしょう。
具体的な使用例としては、「そろそろお時間となりましたので、意見をまとめさせていただきます」などと使います。
「まとめさせていただきます」を使った例文
それでは、他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『議論が混乱し始めましたので、一度これまでの議論をまとめさせていただきます』
・『意見をまとめさせていただきますが、まだ言い足りないという方がいれば挙手願います』
「まとめさせていただきます」の類語による言いかえ
「まとめる」は、大まかに1つにするという意味では、「一本化する」や「集約する」で代用できます。
一方、わかりやすく分類するという意味では、「整理する」で言いかえられるでしょう。
「させていただきます」については、より緩い謙譲表現での言いかえもあり得ます。
また、「まとめたいがどうでしょう」という意味合いを加えても良いでしょう。
以上を踏まえると、「集約いたしたいと思います」や「整理したいと存じます」という全体的な言いかえが実例として挙げられます。
まとめ
「まとめさせていただきます」とは、会議などで議事進行役や司会者が、意見の集約を図る際に用いるフレーズです。
「させていただく」を使っても問題ありませんが、このような場合にはやや過剰な謙譲表現とされる場合もあり得ます。