相手に何かしてもらっておきながら、それを自分の都合で断わるというのは、なかなか難しいものです。
「アポイントをいただいておりましたが」というフレーズはそれに関わるもので、今回詳しく解説いたします。
「アポイントをいただいておりましたが」とは?
まずは基本的ですが、「アポイント」について見てみましょう。
正式には「アポイントメント」であり、「会う約束」や「面会の約束」または「会合の約束」のことを言い、略して「アポ」とされるケースも目立ちます。
次の「いただいて」はこの場合、「もらう」や「与えられる」の謙譲表現「いただく」の連用形「いただき」に、接続助詞の「て」が付いた「いただきて」がイ音便変化して「いただいて」となった上での使用です。
最後の「おりましたが」は、「状況」についての説明にいわゆる「丁重表現」という、聞き手に対して配慮した強めの丁寧表現が使われた形となっています。
以上のことから、「面会の約束をもらっていましたが」という内容を強く丁寧な表現にした形が、「アポイントをいただいておりましたが」というフレーズになるのです。
「アポイントをいただいておりましたが」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
自分で面会の約束を取り付けておきながら、それを自分の都合で変更もしくはキャンセルしたい時に使うフレーズです。
相手に頼んでいたにもかかわらず、自分側の都合で更に相手に迷惑をかけることになるわけですから、相手への失礼度合いはかなり強いことになります。
この後には、その理由についての説明や、平身低頭で謝罪するフレーズが続くのが通例です。
例えば、「アポイントをいただいておりましたが、取引先とのトラブル発生のため延期させていただきたく存じます。
心よりお詫び申し上げます」などと言った形が考えられます。
「アポイントをいただいておりましたが」を使った例文
他に考えられる実際の使用例を以下に並べてみましょう。
・『アポイントをいただいておりましたが、新幹線が遅延しており間に合いそうもなく、大変なご迷惑をおかけすることになりそうです』
・『アポイントをいただいておりましたが、急な出張を命じられまして、誠に申し訳ありませんが日時の変更をお願いできないでしょうか』
「アポイントをいただいておりましたが」の類語による言いかえ
「アポイント」については、「面会の約束」や「面談の約束」または「アポ」などで代用できます。
「アポイント」以降については、約束を取ったのは話し手である自分の側ですので、丁重表現の要素は抜けますが、「取り付けていただきながら」といった形で言いかえましょう。
以上のことから、「面会の約束を取り付けていただきながら」が、言いかえ表現の候補となります。
まとめ
「アポイントをいただいておりましたが」とは、自分の都合で面談の約束に問題が生じた場合に使われるフレーズです。
相手に対する謝罪はもちろん、変更やキャンセルの理由についての説明が続くことになります。