ビジネスに限らず、他で使われている用語が別の分野で、しかも意味合いを若干変えて使われることはよくあります。
「一方通行」もそんな言葉の1つであり、ここで詳しく解説してみたいと思います。
「一方通行」とは?
通常は「一方通行」という言葉は交通関係、つまり道路の「一方通行」を意味することはおわかりかと思います。
つまり、通常どちらにも進めることが多い道路が「1つの方向にしか進めない」という意味です。
この「一方向のみ進める」という意味が、コニュニケーションの機能不全状況の説明に転用されることがあり、それがビジネスでも使用される「一方通行」という言葉なのです。
コミュニケーションは、片方の意見だけが述べられるのではなく、双方の意思の疎通が取れた中ではじめて機能します。
一方で、片方の意見が相手に伝わらない、または片方が全く相手にせずという状況では、コミュニケーションは全く成立しません。
そして、その状況を「一方通行」と比喩的に表現するのです。
「一方通行」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスにおいて「一方通行」という言葉は頻繁に使われるわけではありませんが、上で触れた通り、コミュニケーションが取れないことを説明するのに用いられます。
例えば、購入した商品についてクレームを付けてきた客に対応したものの、相手が一切聞く耳を持たない場合、上司への報告として、「相手が自分の主張を一方通行でまくしたてるだけで、こちらの説明を聞いてもらえません」
などと伝えます。
また、交渉事などで、話自体は相手に伝わっているものの、それに対する反応がない(あえてしない)ような場合にも使います。
例えば、「取引先に仕入れ価格の値上げを提案しているが、一方通行で相手にしてもらえない」と言った使用例が考えられます。
「一方通行」を使った例文
上記の他に考えられる例文を挙げてみます。
・『カスタマーサービスで注意すべきことは、コミュニケーションが一方通行になることです』
・『取引先の担当者との会話が一方通行になりがちで、ほとほと困っています』
「一方通行」の類語による言いかえ
ビジネスにおける「一方通行」は、コミュニケーションや会話が機能しないことを意味しますが、単語としてこの意味を出せる言葉はなかなかないというのが実状です。
「一方向」「いちほうこう」や「単方向」「たんほうこう」が「一方通行」の類語として挙げられるものの、コミュニケーションが取れないという意味で使われる可能性は極めて低いと思われるからです。
そうであるならば、「意思の疎通が取れない」や「言葉のキャッチボールができない」と言った文章表現で代用する方が無難と言えます。
まとめ
ビジネスにおいて使用される「一方通行」とは、一方的な会話になって、まともなコミュニケーションが取れない場合に用いる表現です。
相手が話を聞いていない場合にも、聞くこと自体はしている場合にも使用可能です。