就職活動の面接や新しい職場や昇進での挨拶など、自己アピールの場はビジネスシーンでは数多く存在しています。
そのような時に使われるフレーズの1つに「努力を重ねて参りますので」という表現があり、今回はこれについて解説してみたいと思います。
「努力を重ねて参りますので」とは?
一応「努力」についても意味を確認しておきましょう。
「努力」とは、「何らかの目的や目標のため苦労することや努めること」という意味です。
そして「努力を重ねる」とは、「長期間に渡り努力し続ける」という意味を表しています。
さて、問題となるのは「参ります」という部分です。
文法構造的には、「行く」の謙譲表現「参る」の連用形「参り」に、丁寧表現の助動詞「ます」の終止形(後続がある場合には連体形)が付いた形です。
一方で、「参る」は「行く」の謙譲語とされ、「行く」方向の相手を立てる場合は、そのまま通常の謙譲表現として成立します。
しかし、「行く」が単に自分の動作のみを指す場合や、話す相手とは関係ない所に行く場合には、「謙譲表現を用いて立てるべき相手」は存在していないか、もしくは話の聞き手とは関係ない人物になります。
このような場合に謙譲表現が用いられるのは、自分の動作とは無関係の話の聞き手に配慮する、いわゆる「丁重表現」と呼ばれる特殊な謙譲表現技法を用いる時です。
丁重表現は、通常は謙譲表現と丁寧表現(今回は「参ります」)のセットで用いられれ、聞き手に配慮した表現を作り出します。
また、最後の「ので」は、順接の理由を表す接続助詞です。
以上のことから、「努力を重ねてまいりますので」とは、「努力し続けていきますので」という意味を、聞き手に配慮して伝えるためのフレーズということになります。
尚、この後には「よろしくお願いいたします」などの表現が続く傾向が見られます。
「努力を重ねて参りますので」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスシーンでこのフレーズが使われるのは、基本的に自己アピール目的です。
「自分は一生懸命努力していくので、(これからも)お付き合いさせてもらいたい」という意図が含まれています。
また、かなりかしこまった表現であるため、かなり目上の相手やフォーマルな場での使用が前提です。
具体的には、昇進の挨拶や就職活動の面接の中で使用されます。
「努力を重ねて参りますので」を使った例文
それでは、このフレーズを用いた例文を挙げてみましょう。
・『努力を重ねて参りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします』
・『努力を重ねて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします』
「努力を重ねて参りますので」の類語による言いかえ
「努力を重ねる」という意味では、「精進する」や「励む」などが言いかえとして考えられます。
また、「参ります」には単に「〜していく」だけではなく「〜していくつもり」という要素が含まれていますので、「所存です」などという言いかえもあり得るでしょう。
以上のことから、言いかえ表現としては「精進して参る所存ですので」などとなりますが、「所存です」を使用する場合には、単に「精進していく所存です」でも敬語表現としては問題ありません。
まとめ
「努力を重ねて参りますので」とは、「自分が努力し続ける」という自己アピールのフレーズであり、就職活動の面接や転勤や昇進の挨拶などで使われる、かしこまった表現です。
また、聞き手に配慮した謙譲表現の一種である「丁重表現」が「参ります」という形で使われています。