就職活動では、自分がこれまでしてきたことをアピールする必要がありますが、「励んでおりました」もその際によく使われるフレーズと言えるでしょう。
今回はこのフレーズについて解説いたします。
「励んでおりました」とは?
このフレーズを文法的に分けると、「励む」の連用形「励み」に、接続助詞の「て」が付いた部分が、「励んで」という形になっていることに注意が必要です。
つまり「励ん」になったのは、いわゆる「撥音便」化(発音しやすいように「ん」に変わる)であり、その際に同時に「て」が濁音化するという変化も起こります。
一方、「おりました」の部分は、「いる」の謙譲表現「おる」の連用形「おり」に、丁寧助動詞「ます」の連用形「まし」が付き、更に過去や完了の助動詞「た」の終止形が続く形となっています。
尚、「おります」の形は、謙譲表現の中でも動作の向かう相手をたてる表現ではなく、話の聞き手に配慮する形の謙譲表現である「丁重表現」と呼ばれるものです。
そして、今回のフレーズでは、「おります」の過去形「おりました」として丁重表現が使われています。
「励む」とは「頑張る」や「懸命に努める」という意味ですから、フレーズ全体としては、「頑張っていました」という意味の丁重表現になります。
「励んでおりました」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
就職活動での面接時に、自分が学生時代にしていた学業もしくは課外活動などをアピールする際に、このフレーズが使用されます。
具体的には、「学生時代は、野球部の活動に励んでおりました」などと使われます。
また、面接とは関係ない自己紹介などでも、同じ様に使われることもあります。
「励んでおりました」を使った例文
それでは、他に考えられる実際の使用例を挙げてみましょう。
・『前職では、商品開発業務に励んでおりました』
・『介護のボランティア活動に励んでおりました』
「励んでおりました」の類語による言いかえ
「励む」の類語や言いかえ表現としては、「頑張る」や「努める」、「精を出す」、「力を入れる」、「精進する」、「やり抜く」など、割と多様な言いかえが存在していますので、状況に応じてより相応しい形の言葉を選ぶことが可能です。
また、丁重表現の「おりました」の言いかえですが、丁重表現は丁寧表現の強化版と捉えられることも多いので、シンプルに通常の丁寧表現で言いかえても問題はありません。
以上のことから、「励んでおりました」の言いかえ表現としては、「精進していました」や「力を入れていました」などの形が考えられます。
まとめ
「励んでおりました」というフレーズは、就職活動の自己アピールや、自己紹介などで使われる表現です。
「励んで」という部分は、本来の「励みて」という形が撥音便化や濁音化した結果です。
また「おります」という丁重表現の過去形「おりました」が使われていることに注意しましょう。