ビジネスにおいては、日常生活であまり使わないような表現方法が使われることがあります。
「否めませんが」もまたそのような表現の1つと言え、ここで意味や使用方法について解説したいと思います。
「否めませんが」とは?
「否めませんが」の読み方は「いなめませんが」です。
元の「否む」には「否定する」や「断る」という意味があります。
「否む」の可能動詞である「否める」に「ない」という否定が付いたのが「否めない」なのです。
「否む」は通例「否めない」という形で用いるため、否定の否定、つまり二重否定の形で使われています。
意味としては、「否定できない」や「断ることができない」となりますが、「完全に否定できない」や「〜ないとは言い切れない」という「部分否定」的な意味を与えられることもありますので注意しましょう。
「否めませんが」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
物事に言及する場合、直接的に「肯定」すると角が立つ場合があります。
「〜を否定できない」という形で、クッションを置いて結果的に肯定すると、柔らかい印象を与えられるのでビジネスでは重宝されています。
特にマイナスのイメージがあるものごとを肯定する場合には、かなり有用な表現方法です。
また、部分否定的な意味で使用された場合、「断定」による弊害を避けることもできます。
「否めません」に、逆接を意味する接続助詞の「が」が付きますので、このフレーズの後には、それに反する内容が続くことになります。
「否めませんが」を使った例文
「否めませんが」を使った実例を挙げてみましょう。
・『ご指摘いただいた件につきまして、実際に課題があることは否めませんが、ご理解いただければ幸いです』
・『価格競争力が足りない点は否めませんが、発売日を遅らせることはできません』
既に説明したように、「否めませんが」の後には、通常推測される内容に反するような表現が続きます。
最初の文であれば、本来なら理解することを相手に望むのは無理でしょうし、次の文でも、本来なら発売日を延期するのが常識的です。
「否めませんが」の類語による言いかえ
「否めませんが」を(完全)二重否定で用いる場合は、「否定できませんが」で言いかえできます。
一方で、部分否定的な要素も兼ねている場合には、「否定しきれませんが」や「ないと断言いたしかねますが」と言った形で更に濁す方が無難でしょう。
また、「あながち否定できませんが」も言いかえに使えます。
まとめ
「否めませんが」は、ストレートに肯定や断定もしくは断言したくない場合に有効な表現方法です。
このフレーズの後には、通常考えられる内容と逆の内容が表現されます。