ビジネスではかしこまった表現が使われるケースが多く、敬語表現も加わって「回りくどい」と感じるフレーズも多々あります。
今回の「存じ上げないです」もそのような事例の1つと言えますが、面倒くさいとばかり言ってもいられないため、これより詳しく解説いたします。
「存じ上げないです」とは?
まず結論から言うと、「存じ上げないです」は「知らないです」を強めの謙譲表現にしたものです。
とは言っても、それでは説明としてあまりにも雑過ぎますので、文法的な解説をしてみましょう。
「存じ上げる」は、「知る」や「思う」を意味する「存ずる」という謙譲表現に、「上げる」を付けた謙譲表現です。
また、人や名前などを「知る」や人を対象にして「思う」などの場面の謙譲表現で「存じ上げる」を用いることに注意します。
逆に物や事象などを「知る」や「思う」場合には「存じる」を使います。
その「存じ上げる」に打ち消しの助動詞「ない」を付けるため、「上げる」を未然形「上げ」にして「ない」を付けた形が「存じ上げない」となっているのです。
そして、更に丁寧な断定表現を作る「です」を付けたのが「存じ上げないです」というフレーズになります。
尚、「です」は体言に接続するので、直前の助動詞「ない」は連体形であることに注意してください。
以上の分析を踏まえた上ではじめて、「知らないです」という意味になるのです。
「存じ上げないです」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
仕事で特定の誰かについて知っているか尋ねられた場合に、「存じ上げないです」と答えます。
この場合、相手は「◯◯さんのことご存知ですか」という形で聞いてくることが多いかと思いますが、それに対して「いえ、存じ上げないです」と伝えれば良いのです。
「存じ上げないです」を使った例文
それでは、実際に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『その方は存じ上げないです』
・『私は存じ上げないですが、部長ならご存知かもしれません』
「存じ上げないです」の類語による言いかえ
「存じ上げないです」は、同じ否定の丁寧表現を用いる「存じ上げません」という言いかえがまず考えられます。
また、「面識がありません」という表現にしても、謙譲表現や丁寧表現と同じ意味合いを作り出せます。
まとめ
「存じ上げないです」とは、特定の人を知っているか尋ねられた場合に、回答として「知りません」と伝える場合に用いるフレーズです。