学生時代を終えた後でも、新入社員時代や未経験分野の担当になれば、当然日々学習すべきことが多くなります。
「学ばせていただいております」も、そのような状況に関係するフレーズであり、これより解説していきます。
「学ばせていただいております」とは?
「学ばせていただいて」は、「学ぶ」という動詞の未然形「学ば」に続き、「(さ)せていただく」の連用形「せていただき」のイ音便形「いただい」に接続助詞の「て」が付いた、いわゆる「相手に遠慮して〜をする」という意味の謙譲表現となっています。
それに「おります」という、「いる」の謙譲語「おる」の連用形「おり」に丁寧表現をつくる助動詞「ます」が付いたものが更に付加されているのです。
ここで2つの重要な問題が浮かび上がります。
まずは、「(さ)せていただく」という謙譲表現が成立するには条件があるということです。
つまり、「相手や第三者の許可を得た」上で、「自分のためにする」ことの両方を満たす場合のみ許された表現が「(さ)せていただく」というフレーズであるため、この場合に妥当かどうかが最初の問題です。
「学ぶ」ことに誰かの許可は不要ですが、先輩などから指導を受けつつ学ぶのであれば、「相手の許可を得て」という性質があるとしても問題はないでしょう。
当然自分のためにも学んでいるわけですから、この場合は成立する可能性があります。
次に問題になるのは、「学ばせていただいております」が二重敬語ではないかという疑問です。
しかしながら、接続助詞「て」が間に付いていますから、「学ばせていただく」と「おります」の謙譲表現は別の存在として並立しています。
また、「おります」はいわゆる「丁重表現」と呼ばれる、一般の謙譲表現ではない謙譲表現であるため、同じ謙譲表現が二重にかかった二重敬語にはそもそも該当しません。
「おります」は聞き手に対しての敬意を表すための表現で、自分の行為をへりくだらせているわけではないのです。
これらを踏まえた上で全体を通してみると、「学ばせてもらっています」を聞き手にも配慮して、かなり丁寧に表現した意味になります。
「学ばせていただいております」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが使われるのは、「自分の現状の報告」の場面です。
例えば、恩師に就職後初めてメールを出す際、「今は営業担当として毎日のように『学ばせていただいております』」などと書くようなケースが考えられます。
また、文中だけでなく会話中でも普通に使用されます。
ただし、回りくどい言い回しであるため、「(さ)せていただいております」の形を多用するのは避けましょう。
「学ばせていただいております」を使った例文
他に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『未経験の経理部門に配属され、最近は常に学ばせていただいております』
・『日々学ばせていただいておりますが、なかなか思うようには行きません』
「学ばせていただいております」の類語による言いかえ
「学ぶ」を「相手から教えてもらう」という意味合いで捉えれば、「ご指導いただいております」や「教えていただいております」などによる言いかえが考えられます。
また、相手に現状を伝えるという意味だけなら、「学んでおります」という敬語表現でも十分足りるでしょう。
まとめ
「学ばせていただいております」は、一般的な謙譲表現と、行為には無関係である聞き手に配慮するための謙譲表現の2つが合体した特殊な表現です。