提出したものが、不備のために返されるという経験は社会人なら誰しもあるでしょう。
今回の「差し戻し」もそのような場合に使用されるフレーズであり、これより解説いたします。
「差し戻し」とは?
「差し戻し」とは、動詞「差し戻す」の連用形であり、連体形同様に「動詞の連用形による名詞的な使用」のパターンに該当しています。
意味は、「提出されたものを提出した相手や元の場所に戻すこと」です。
概ね、何らかの不備や問題がある場合に「差し戻し」が行われるものと考えましょう。
また法律用語として、「上級裁判所が、下級裁判所が出した判決を破棄して、下級裁判所にもう一度審判させること」という特殊な意味もあります。
「差し戻し」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
この表現がビジネスでよく使用されるのは、「提出した提案や書類」などが、決裁権限や承認権限がある責任者によって、提案者や提出者に返される場合です。
既に説明した通り、単に返されるだけでなく、返されることに正当な理由や根拠があり、このフレーズが使用される場合にはその説明も同時になされる傾向があります。
具体的な事例としては、「経営会議に提出した予算案が、具体的な計算根拠がないものとして経営部長から差し戻しの決定を下された」と言った形の表現があり得るでしょう。
また、判決関連で使われる場合には、「地方裁判所の判決が高等裁判所によって差し戻しになった」と言うような使用になります。
「差し戻し」を使った例文
それでは、上記以外で考えられる例文を挙げてみましょう。
・『役所への申請が、記入漏れにより差し戻しされた』
・『差し戻しの決定に異議申し立てを行います』
「差し戻し」の類語による言い替え
「差し戻し」の類語や類似表現としては、「送り返し」、「突き返し」、「返却」「へんきゃく」が考えられます。
「突き返し」は「送られてきたものを受領せずに返す」という意味合いがあるので、「一度受け取った上で返す」という「差し戻し」とは、若干意味合いが違ってきます。
よって、「送り返し」や「返却」が、「差し戻し」の言い換えとしては適切だと考えられます。
まとめ
「差し戻し」とは、提出した書類や案などを、権限を持った人間が正当な根拠を持って相手に返すこと、または元に戻すことです。
また法律用語として、裁判において上級裁判所が下級裁判所の判決を破棄して、もう一度審判させるという意味でも使用されます。