商品や必要なモノが、自分のそばや管理下にあることも、逆にない場合もあります。
そのような状態に関するフレーズとして「手元にありません」という表現があり、今回はこれについて解説してみたいと思います。
「手元にありません」とは?
まず「手元」とはどんな意味なのでしょうか。
調べてみると「手が届く範囲」や「自分の周り」とされています。
ただ、ビジネス上の「手元」は、この意味にとどまらないことが多いようです。
具体的な説明は次の項目で行いますが、「手元」の意味としては、「(このフレーズが使われる時点で)自分のコントロールの及ぶ範囲」と捉えるべきでしょう。
さて、更に「ありません」を文法的に見てみます。
その場合、動詞「ある」の連用形「あり」に丁寧表現をつくる助動詞「ます」の未然形「ませ」が付き、最後は打ち消しを意味する助動詞「ぬ」の撥音「はつおん」パターンである「ん」が続いた形です。
意味はそのまま「ありません」という丁寧表現となっています。
以上を踏まえた全体的な意味としては、直接的には「周囲にありません」ですが、「自分の意思でどうにかできる場所にありません」という意味合いで使われることもあると考えてください。
「手元にありません」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
既に軽く触れましたが、このフレーズは一見簡単そうで難しい面も含むため、具体的なビジネスシーンの事例で説明します。
取引先から「商品を送って欲しい」と依頼されたものの、自社から距離が離れた場所にある倉庫に在庫がない場合「在庫がありません」と回答するのにこのフレーズが使われます。
距離こそ離れていますが、在庫があればあなたの判断と指示ですぐに商品を送れますから、「手元にある」と言って問題なく、逆であれば「手元にない」と言えます。
ビジネスにおいては、単純な「対象物との物理的距離」の問題だけで「手元」は語れないのです。
「手元にありません」を使った例文
実際に使用が考えられる例文を挙げてみましょう。
・『書類を家に置いてきてしまったので、現在手元にありません』
・『ご注文商品が手元にありませんので、発送が遅れますことお詫び申し上げます』
「手元にありません」の類語による言いかえ
「手元」をどう捉えるかによって言いかえ表現も変わってきます。
物理的な「手元」であれば「身近」もしくは「手近」や「周囲」が考えられます。
一方で、「自分の指示や判断がすぐに反映される場所」として捉えれば、「管理下」や「影響下」もあり得るでしょう。
また、敬語表現の言いかえとしては、「ありません」を更に丁寧な表現にするため「ございません」とする方法があります。
これらを踏まえると、「周囲にはございません」や「管理下にはございません」となります。
まとめ
「手元にありません」とは、突き詰めると「(現時点では)対象物を自分ではどうしようもできません」という意味で用いるフレーズです。
当然「(物理的に)対象物が近くにない(のでどうしようもない)」という意味合いで使われる場合も多々ありますが、ビジネスの場合にはそれも含めて「対象物が現時点では自分ではどうしようもない」状態にあることを暗に意味しているのです。