学生時代には目や耳にすることもなかった、古めかしい表現やフォーマルな表現に、社会人になると接することがそれなりに増えます。
今回の「暫し」もまた、そのような言葉の1つであり、これより解説いたします。
「暫し」とは?
「暫し」は「しばし」と読み、意味は「少しの間」、「わずかな時間」と言った意味があります。
元々は「しまし」と読んでいたものが変化して「しばし」という読みになったものです。
現代においてはかなり堅苦しい表現になってしまうため、フォーマルな場面でも高齢の方など、基本的にかなり限定された対象の人達が使用している言葉ですが、ある程度使用頻度はあるため、覚えておいて損はない言葉と言えます。
尚、「暫し」が意味する具体的な期間については、元々が曖昧な表現であるため断定することは極めて難しいと言わざるを得ません。
ただ、一般的な感覚としては、短ければ数分、長くても数日から一週間以内というのが共通理解のようです。
一方で、ある程度長い期間に使用する場合もあり得るため、前後の表現や状況に応じて個別に理解するしかありません。
「暫し」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「少しの間」や「僅かな時間」を堅い表現で表したい時に用います。
表現の性質上、基本的に口語よりも文語、つまり文章中で使われることが現代では多いと言えるでしょう。
「暫し、お時間をいただきたいと存じます」や「暫し休憩時間をいただきます」などと使います。
また、当然ですが、「暫し」が使用される文章全体も堅い表現で統一すべきです。
例えば、「暫し待ってね」は統一性がなく「あり得ない」表現と言えます。
「暫し」を使った例文や文章
それでは、上記以外の例文を挙げてみましょう。
・『暫しお待ちください』
・『暫し失礼いたします』
「暫し」の類語や言い替え
「暫し」は「しばらく」で言い替えできます。
「しばらく」自体が漢字表記で「暫く」となることからも自明と言えるでしょう。
ただ、「しばらく」には「長い間」という意味での使用も可能であることから、そのように捉えられかねない表現の中では代用しない方が良いでしょう。
後は、既出の「少しの間」や「僅かな間」などでも代用可能です。
まとめ
「暫し」とは、「少しの間」や「短い期間」または「僅かな間」など、短い時間を表現するためのかなりフォーマルな言葉です。
「しばらく」で基本的に代用可能ですが、「しばらく」には「長い間」という意味での使用もあり得るため、その意味で捉えることが可能な表現では言い替えすべきではありません。