ビジネスにおける感情表現は、本音というよりは社交辞令的に用いられることが多いため、特殊な形である場合が目立ちます。
「言葉もありません」もその一例であり、これより解説いたします。
「言葉もありません」とは?
「言葉」とは、一般的には「意味を表すため、言ったり書いたりしたもの」です。
同時に、「言葉もありません」というフレーズの中の「言葉」とは、いわゆる単語ではなく、1つのフレーズとしての意味で使われています。
そしてこのフレーズ全体は、「感情表現のフレーズがありません」というのが直訳となります。
しかし、実際に「何の感情もない」のではなく、「感情表現が思い浮かばない、出来ないほど何らかの感情を抱いている」という、むしろ「感情の強調」になっているのです。
悲しさから嬉しさまでかなり広い範囲の感情表現に用いられ、その感情の内容は文脈によって変わってきます。
「言葉もありません」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでこの表現が使われる場合はいくつか考えられます。
「お悔やみ」
よく見られるものとしては、まずお悔やみです。
誰かが亡くなった場合に、自分の悲しさや突然のことに対する驚き、あるいは遺族への同情の感情を強調するために用いられます。
具体的には、「先輩がお亡くなりになったと伺い、突然のことで言葉もありません」のような事例が考えられます。
「謝罪」
次に見られるのが、謝罪の場面です。
相手に申し訳ないと思う気持ちが強すぎて、それを表現しようがないという意味での使用です。
具体例としては、「この度は大変なご迷惑をおかけしてしまい、お詫びの言葉もありません」といった形が挙げられます。
「その他」
頻度はそれほど高くはありませんが、その他の感情の強調にも用いられることがあります。
具体的には「嬉しい感情」や「感動」にも使うことが可能です。
例えば、「今回の取引が成立する可能性はないと考えておりましたので、契約成立の一報を聞き、言葉もありません」という表現であれば嬉しさを強調しています。
「言葉もありません」を使った例文
それでは他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『あまりに突然の発表に、言葉もありません』
驚きという感情を強調しています。
・『体調の問題で退職されたと伺い、正直言葉もありません』
これは驚きと同時に相手への同情を強調しています。
・『あまりの無礼な態度に、言葉もありません』
呆れという感情の強調です。
「言葉もありません」の言い替え
各感情の強調で言い替えることが出来ます。
・「〜限りです」
「〜」は感情表現の形容詞や名詞が当てはまり、〜という感情が極めて強いことを表現します。
「心苦しい限りです」や「申し訳ない限りです」などが該当します。
・「〜の極みです」
こちらも「〜の限りです」と意味合いはほぼ一緒ですが、「〜」には感情表現の名詞もしくは名詞的用法の言葉が入ります。
「悲しみの極みです」や「恥の極みです」が実例として挙げられます。
・「なんと言って良いかわかりません」
これはほぼそのまま「言葉もありません」と同じ表現であり、「わかりません」の部分は「思い浮かびません」のような形もあり得るでしょう。
まとめ
「言葉もありません」とは、「あまりに何らかの感情が強すぎて、表現しようがない」という意味のフレーズです。
「感情表現しようがない」という形を取った感情の強調表現ですので注意しましょう。