ビジネスでは、仕事の進捗状況について、事細かく把握する必要があります。
「進展いたしました」もその進捗状況についての説明に必須の表現ですので、詳しく解説していきます。
「進展いたしました」とは?
まず「進展」ですが「しんてん」と読み、意味は「物事の状況が進んで変化すること」です。
この場合は、動詞の「進展する」として用いられており、その「する」の謙譲表現である「いたす」に丁寧表現の「ます」の過去形がついて、「いたしました」という形になっています。
ここで注意が必要なのは、「物事」が進展するわけですから、本来であれば「進展する」を「進展いたす」にする必要はないということです。
しかしながら、この場合に謙譲表現が用いられている理由は、動詞の主体をへりくだらせる意図ではなく、話の聞き手に対しての配慮を意図した、いわゆる「丁重表現」として謙譲表現が用いられているからです。
それを踏まえた上で全体の意味は、「(何かの物事が)進みました」ということを、聞き手にかなり配慮した表現をしていることになります。
「進展いたしました」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが用いられるのは、上司などに仕事の進み具合を報告している場合が考えられます。
今まで動かなかった状況に新しい変化が現れたということを報告しているわけです。
また、報告相手が同僚であれば、「進展しました」で十分丁寧な表現ですから、わざわざ「進展いたしました」という丁重表現にする必要はありません。
尚、基本的に「進展」自体には直接的な意味で「良い方向に進む」という意味合いはありませんが、現実的には、好ましい変化がある場合に用いられることが多くなっています。
「進展いたしました」を使った例文
それでは例文を挙げてみましょう。
・『契約交渉が進展いたしました』
・『事業計画が進展いたしました』
「進展いたしました」の類語による言いかえ
「進展(する)」の類語としては、「発展(する)」や「展開(する)」あるいは「進行(する)」などが考えられます。
積極的に「上手く進む」という意図を出したい場合には、「はかどる」という言いかえもできます。
敬語表現の言いかえとしては、同じく「丁重表現」として使われる「しております」による代用が考えられます。
「いたしました」と比較すると、「進展した状況がまだ続いている」という意味合いが強くなりますが、聞き手に配慮する意図がはっきりと表現できるので、問題はないでしょう。
全体を踏まえると、「進行しております」や「はかどっております」と言った言いかえ表現が可能です。
まとめ
「進展いたしました」は、物事に新しい展開がみられたことを、相手に配慮しながら伝える表現です。
この場合の謙譲表現「いたしました」は、自らの行為をへりくだらせる意図ではなく、話の聞き手に対して配慮する丁重表現の意味で使われています。