「残寒の候」というフレーズがビジネスで使われることがあります。
若い方にとってはもちろん、耳慣れないフレーズだという感想を持つ方が多いというのが実情ではないでしょうか?
そんな多くの方にとってあまり馴染みのない「残寒の候」という言葉について、詳しく解説してみたいと思います。
「残寒の候」とは?
「残寒の候」の読み方は、「ざんかんのこう」と読みます。
「残寒」とは、1年を24の区分に分けた二十四節気の「立春」「りっしゅん」が明けてからも残る寒さを言います。
より詳しく言えば、2月4日前後でこれを境に春が始まるという「立春」を過ぎても、まだ寒さが残っている状況を意味しています。
「残寒の候」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
一般的に、「残寒の候」という言葉が出てくるのは、メールや挨拶文において、冒頭の部分でよくある定型の季節の挨拶表現だと考えてください。
つまり、「立春を過ぎて本来なら徐々に暖かくなっているはずが、まだ寒さが残っている」という気象状況を前提にしたメールや手紙で、冒頭に用いる決まり文句なのです。
「残寒の候」が使われるタイミングについては、立春を過ぎてから2月中旬までというのが一般的な理解です。
立春の次の二十四節気が「雨水」「うすい」で、それが2月19日前後であることから、その「雨水」が来るまでの間に用いるという判断からと思われます。
ただ、「残寒」自体に明確な時季の定義はありません。
そのため、2月中でまだ寒さが残っていれば、「残寒の候」を使ってもそれほどおかしくはないと思われます。
いずれにせよ、「残寒の候」はかなり堅苦しいイメージのある表現です。
使用する相手は一定の年齢層以上であり、文章全体も文語体のような堅い表現で統一されている必要があります。
また、「残寒の候」が使われる場合は、冒頭の「拝啓」「はいけい」とセットで用いられることが通例となっています。
「残寒の候」を使った例文
では、「残寒の候」を用いた実例を挙げてみましょう。
・『拝啓 残寒の候、○○様におかれましては、お体にお気をつけください』
・『拝啓 軽暖の候、貴社におかれましては、ますますご繁栄のことと存じます』
以上のようなケースが考えられますが、「拝啓」を冒頭に用いる場合には、締めが「敬具」「けいぐ」や「敬白」「けいはく」などの言葉とセットになっていることを忘れないようにします。
「残寒の候」の類語での言いかえ
「残寒の候」の言いかえとしては、「残寒」を「余寒」「よかん」で置きかえるのが代表的です。
つまり「余暇の候」で良いのです。
また文語体ではなく、口語的表現で置きかえても良いでしょう。
例えば、「春だというのに、未だ寒さが残る今日この頃」や「春とは名ばかりで寒さにこごえる日々ですが」などの表現が考えられます。
まとめ
「残寒の候」は、基本的に「拝啓」とセットで、立春を過ぎた2月中の冒頭の挨拶に用いる定型表現です。
使用時期を2月の上旬から中旬に限定する解説もよく見ますが、一般的には立春を過ぎた2月中であれば極端に気にする必要はないでしょう。
また、かなりフォーマルな表現であり、使用する相手や内容、他の文章とのバランスに注意する必要があります。