社会人となれば、事情の報告や説明は避けることができません。
「背景となっております」もそのような場合によく使われるフレーズで、今回はこれについて説明いたします。
「背景となっております」とは?
「背景」は「はいけい」と読み、この場合の意味は「表からはわかりづらいが、物事や事象に対して影響を与えたり理由となっているもの」です。
簡潔に言えば、「物事の背後にある事情や経緯」とすればわかりやすいでしょう。
一方、「なっております」は、文法的には動詞「なる」の連用形「なり」に接続助詞「て」が付いた上、「り」が「っ」という促音便変化して「なって」という形になったものに、「おります」という聞き手に配慮した丁重表現が続いた形です。
以上のことから、「(何かが、ある物事や事象に)陰で影響を与えています」や「(何かが、ある物事や事象の)隠された理由になっています」という内容を極めて丁寧にした表現がこのフレーズと言えるでしょう。
「背景となっております」の使い方や使われ方、使うときの注意点
物事や事象を詳しく解説や説明する際に使用します。
具体的には、「温暖化による上空のジェット気流の蛇行が、寒波襲来の背景となっております」と言った形です。
この場合、「温暖化」と「寒波襲来」は直接的には結び付かないため、「背景」という言葉を使って説明しているわけです。
つまり、直接的には結び付かない、あるいは関係がわかりづらい物事や事象を関連付けて説明する場合に、このフレーズが使用されるのです。
また、「おります」は、「丁重表現」という謙譲表現の一種であると共に強目の丁寧表現ですから、聞き手に気を遣う必要のある格式張った会議などのフォーマルな場面での使用が考えられます。
「背景となっております」を使った例文や文章
それでは、実際に使用が考えられる例文を挙げてみましょう。
・『今回の突然の人事異動は、社長の意向が背景となっております』
・『国内企業業績が好調なのは、海外の需要が好調なことが背景となっております』
「背景となっております」の類語や言い替え
「背景」の類語や類似表現としては、「裏事情」や「背後にある事情」がまず考えられます。
ただ、これらは人間関係などの場合には該当しても、純粋な事象などの説明には適切な言い替えとは言い難い側面があり、その場合には「隠れた因果関係」などという表現で代用しましょう。
「なっております」については、シンプルな丁寧表現である「なっています」という言い替えで問題ありません。
以上のことから、このフレーズの言い替え表現としては、「裏事情となっています」や「隠れた因果関係となっています」などが挙げられます。
まとめ
「背景となっております」とは、ある物事や事象において、「隠された事情」や「隠れた因果関係」などを説明する際に用いるフレーズです。
「おります」という丁重表現が使われているため、聞き手に配慮する場面で使用されます。