ビジネスシーンでは、日常生活では使わないような、かなり堅い敬語表現が用いられることがあります。
「承らせていただきたく存じます」もその典型例と言え、これより詳しく解説いたします。
「承らせていただきたく存じます」とは?
まず、このフレーズの文法的な分析から始めてみましょう。
「聞く」や「知る」の謙譲後である「承る」「うけたまわる」に、「遠慮しつつ〜させてもらう」という意味の謙譲表現「〜(さ)せていただく」、希望の助動詞「たい」、思うの謙譲表現「存じる」、丁寧表現の助動詞「ます」が活用しながら順に続いています。
また「〜させていただく」は、「する」の未然形「さ」を利用して、「名詞」プラス「する」を動詞として使うことを前提の表現です。
よって、「せていただく」の前が動詞であれば、その動詞の未然形に「せていただく」が続く形になりますので、今回は「承らせていただく」の形を取っています。
以上のことから、このフレーズの内容は、「聞かせてもらいたいと思います」や「知らせてもらいたいと思います」という意味の、強い謙譲表現を前提とした丁寧表現となります。
「承らせていただきたく存じます」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
目上の人や顧客などから、意見や情報を聞きたい場合に用います。
例えば、カスタマーサービスの担当者が顧客からのクレームを聞き取る場合に、「お客様のご意見を承らせていただきたく存じます」のように用います。
相当かしこまった表現ですが、上記カスタマーサービスのような直接的な顧客相手の担当部署などでは、文章中のみならず会話でも使用される可能性が十分にあるフレーズです。
「承らせていただきたく存じます」を使った例文
それでは、上記以外にあり得る使用例を以下に挙げてみましょう。
・『詳細を承らせていただきたく存じます』
・『ご不満な点を承らせていただきたく存じます』
「承らせていただきたく存じます」の言い替え
「聞かせてもらいたいと思います」や「知らせてもらいたいと思います」をかなりかしこまった形にした表現ですので、それをどう言い替えるかがカギとなります
ただ、「させていただく」は、基本的に過剰な謙譲表現とされることも多く、それを考慮する必要があります。
・「拝聴したいと思います」
「聞く」の謙譲表現である「拝聴」「はいちょう」を用いて、「思います」はそのままにした形ですので、ややカジュアルな方向への言い替えです。
・「伺いたいと考えています」
こちらは「聞く」の謙譲表現を「伺う」「うかがう」で言い替えています。
また、「考える」が「存じる」の代用表現です。
まとめ
「承らせていただきたく存じます」とは、相手の話を聞きたい、もしくは知りたい場合に用いる表現です。
かなりかしこまった表現ですが、顧客対応などでは口頭でも使用される傾向があります。