ビジネスにおいても、ミスが起これば謝罪する必要があります。
そのような場合によく使われるフレーズに、「一度ならず」というものがあり、これより解説いたします。
「一度ならず」とは?
「一度」は言うまでもなく「一回」という意味です。
では「ならず」とはどんな意味なのか、文法的にまず見てみましょう。
動詞「なる」の未然形「なら」に、打ち消しや否定の助動詞「ず」の連用形が付いた形が「ならず」であり、直訳すると「ならない」という意味になります。
つまり「一度ならず」の形であれば、「一度にならない」ということになり、それは「一度だけで済まない」ということを意味します。
よって、最終的には「何度も」や「度々」「たびたび」という意味になるわけです。
「一度ならず」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでこのフレーズが使用されるのは、基本的には謝罪の場面です。
しかも、謝罪しなくてはならないことを、何度か繰り返している場合に用いるフレーズと言えます。
つまり、相手にかなり迷惑をかけている場合に用いるフレーズであると考えられるわけです。
具体的には、「一度ならず二度も宛先を間違い、誠に申し訳ございません」のように、このフレーズの後に具体的な謝罪表現を伴って用います。
また、頻度は低いものの、単純に「何度も」のかしこまった表現として使用されることもあり、その場合には「一度ならず何度も試作を繰り返した」のような形での使用です。
尚、例文でもわかるように、「一度ならず二度も」や「一度ならず何度も」といった、他の頻度を表す言葉と合わせた定型句として使用される傾向があるので注意しましょう。
「一度ならず」を使った例文
それでは、上記以外で考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『一度ならず二度も三度も同じミスを繰り返してしまいました』
・『一度ならず何度も食器を壊してしまい、申し訳ありません』
「一度ならず」の言い替え
シンプルに「何度も」という意味合いを出せるかしこまった表現であれば、言い替えとして十分認められます。
・「一再ならず」
「一再」「いっさい」は「一度や二度」という意味です。
・「返す返す」
「返す返す」「かえすがえす」も「何度も」という意味がある言葉です。
・「くれぐれ」
漢字で表記すると「呉呉」となり、こちらも同じく「何度も」の意味があります。
・「再三」
「再三」「さんさん」は、直接的には「二度も三度も」ですが、「度々」という意味もあります。
まとめ
「一度ならず」とは、「何度も」や「度々」または「繰り返して」という意味です。
ビジネスでは、ミスを何度も繰り返したという意味合いで、謝罪表現の中で使用される傾向が見られます。