ビジネスシーンでは、挨拶表現が多岐にわたり、「肌寒くなってまいりました」もその一環として使用されるフレーズです。
今回はこのフレーズについて探ってみたいと思います。
「肌寒くなってまいりました」とは?
「肌寒く」は形容詞「肌寒い」が原形ですが、意味は「肌に触れる空気が寒く感じる様」です。
意味的には表記通りですので大して難しいわけではありませんが、「何時使うのか」ということについては難しい側面があります。
春先でも「肌寒い」気温は当然あり得るからです。
結論から先に述べますと、一般的にはこの「肌寒い」というフレーズは、秋頃の「寒さ」に用いるフレーズです。
例えば、俳句の季語の「肌寒」は、秋の季語として使用されています。
また、「まいりました」は、「まいる(参る)」が「来る」の謙譲表現であるため、「きました」の謙譲表現と丁寧表現の組み合わせです。
ただ、この場合は動作の向かう先が「存在しない」ため、敬意が向いているのは話の「聞き手」もしくは「読み手」です。
つまり、聞き手に配慮した謙譲表現と丁寧表現の組み合わせであることから、いわゆる「丁重表現」になります。
以上のことから、「肌寒くなってまいりました」とは、「(秋も深まり)空気が寒く感じるようになってきました」という意味の、丁重表現フレーズになります。
「肌寒くなってまいりました」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
今回のフレーズですが、季語同様に「秋」、具体的には10月頃の挨拶の中で使われるフレーズとされています。
ビジネスメールなどで、挨拶の冒頭に季節を感じさせるフレーズとして使用されることが主たる利用目的です。
具体的には、「拝啓 秋も深まり肌寒くなってまいりました」のような形が考えられます。
「肌寒く感じる」季節自体は春でも存在しますが、その場合に使うのは不適切ですので注意してください。
「肌寒くなってまいりました」を使った例文
それでは、他に考えられる実例を挙げてみましょう。
・『ここのところすっかり肌寒くなってまいりました』
・『残暑も終わり、すっかり肌寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか』
「肌寒くなってまいりました」の言い替え
「秋頃」の季節を感じさせる挨拶表現で代用します。
・「仲秋の候」
「ちゅうしゅうのこう」と読み、いわゆる漢語調の10月上旬頃の季節の挨拶、つまり時候の挨拶となります。
・「秋冷の候」
「しゅうれいのこう」と読み、こちらは10月中旬の季節の挨拶です。
・「紅葉の候」
こちらは10月下旬の時候の挨拶です。
・「紅葉が鮮やかさを増す季節となりました」
こちらは「紅葉の候」を口語的に表現しています。
まとめ
「肌寒くなってまいりました」とは、一般的に10月頃に寒さが増してくることを表現した、季節の挨拶となります。
春先の「肌寒さ」には使用出来ないフレーズです。