ビジネスシーンでは、まず日常生活では使用しないような言葉やフレーズを目にする、耳にすることがあります。
「昔時」もその典型例であり、これより解説いたします。
「昔時」とは?
「昔時」は「せきじ」と読みます。
字を見れば分かる通り、「昔」を指す言葉ですから、意味的には難しい言葉とは言えないかもしれません。
ただ、昨今ではほぼ用いられない表現であり、そういう意味では、社会人であってもかなり馴染みのない言葉であることは間違いないでしょう。
よく出てくるのは戦前の文学などの中であり、いわゆる文語調の表現の中で用いられる表現と言えます。
一方、「昔」とはどのくらい以前のことを意味するのかという問題があります。
「十年一昔」という言葉もあり、「10年前から昔」というある程度根拠のある意見や、一部のアンケート結果などからは「5年」というデータもあり、なかなか難しいところです。
ただ、定義的には10年が最低ラインと考えるのがやはり妥当であり、わざわざ「昔時」という古い表現と使うことを考えると、数十年前を基準としても問題はないでしょう。
「昔時」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスシーンでこのフレーズが用いられるとすれば、フォーマルな内容且つ場面の文章の中であり、同時に、その相手はそれなりの高齢で目上の人物と考えられます。
特に昔の出来事や当時の状況を回顧する中で、かしこまった表現として用いられます。
具体的には、「昔時は人の往来も多く、商店街も活気にあふれておりました」のような表現が考えられます。
いずれにしても、かなり堅苦しい言葉であるため、相手の年齢は勿論、相手の知識なども考慮して表現すべきです。
「昔時」を使った例文
それでは、「昔時」を用いた例文を他に挙げてみましょう。
・『昔時は駅もありましたが、路線自体が廃線となって今に至ります』
・『昔時は険しい峠を越える必要がありましたが、現在ではトンネルが開通して気軽に行けるようになりました』
「昔時」の言い替え
「昔」の意味を出せる言葉で言い替えます。
・「昔日」
「昔日」「せきじつ」も昔と同じ意味です。
・「古」
「いにしえ」と読み、こちらも「昔」の意味ですが、傾向としては「かなり昔」という意味での使用が見られます。
・「往時」
「往時」「おうじ」は「昔」や「過去」という意味があります。
尚、「古」は「往にし方」が本来の表記とされており、そういう意味では「古」と共通性があります。
まとめ
「昔時」とは、「昔」や「往時」を意味する言葉です。
かなり堅苦しい言葉ですので、文章で使用するものと考えるべきであり、使用する内容や相手にも注意が必要です。