「申し訳ない」というフレーズは、印象としてはかなり堅苦しい表現ではありますが、ビジネスに限らずあらゆる場面で頻出する表現です。
今回はこのフレーズについて、詳しく解説してみたいと思います。
「申し訳ない」とは?
「申し訳」とは、「申す」が「言う」の謙譲語であることからもわかりやすいように、「言い訳」や「弁解」のことです。
これが「ない」わけですから、「言い訳のしようがない」や「弁解の余地がない」という意味になり、すなわち「ごめんなさい」という謝罪の意味になります。
言葉から受ける印象としては堅めですが、ある程度の年齢になると割とよく使われる謝罪表現で、実際に使ったことのある人も多いでしょう。
また、相手に何か頼みたい場合に、「申し訳ないが」や「申し訳ないけれども」という形で、フレーズを表現の頭に置いたり途中に挟んで使用することもよくあります。
この場合の「申し訳ない」は、論理的には「相手に迷惑をかけていることについて言い訳できない」という意味ではありますが、実際のところ、一般的な口語表現である「悪いけど」や「すみませんが」というような軽い意味合いで使われています。
「申し訳ない」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
「堅苦しい表現ではあるが頻出する」と既に解説した通り、ビジネスシーンでの「申し訳ない」自体は、「ごめんなさい」や「すみません」をもっともらしく表現した程度のフレーズと言えます。
つまり、深く謝罪しているわけでもなく、大きなミスなどをした際には謝罪の程度が足りない表現なのです。
また、堅苦しい表現ではありますが、フォーマルな敬語表現ではないため、謝る対象の相手も自分と同等もしくは目下の場合にしか使えないものと考えるべきでしょう。
「申し訳ない」を使った例文
それでは実際に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『昨夜の飲み会では、前後不覚となってしまい申し訳ない』
・『この書類、申し訳ないけれど、10枚コピーしてもらえます』
いずれも伝える相手、伝える内容ともに軽めな点に留意してください。
「申し訳ない」の類語による言いかえ
「申し訳ない」は、ビジネスでは「すみません」が言いかえとしてはもっとも無難です。
「申し訳ない」より堅さは薄れる一方で、丁寧な印象を与えるからです。
また、「面目」「めんぼく」を使って、「面目ない」という似たような語呂のフレーズによる言いかえも考えられます。
ただ、「面目」には「人の顔を見る」という意味があり、そこから「面目ない」には「合わせる顔がない」や「恥ずかしい」という意味が与えられており、本質的には謝罪の意思はない表現です。
「恥ずかしいほどの失敗をしたので悪いことをした」という意訳的な意味で、「謝罪の要素」が感じられる程度のフレーズですから、直接的な言いかえとしては使わない方が良いと思われます。
一方、「申し訳ない」をフォーマルな場面で使いたい時には、「申し訳ありません」や更に強い敬語表現の「申し訳ございません」を使えば、問題なく対応できます。
接客業などでもよく使われており、多くの方にとっても、ビジネスで自ら使ったり使われたりした経験があるはずです。
まとめ
「申し訳ない」は「すみません」程度の軽めの謝罪表現や依頼表現です。
使う相手は自分と同等か目下、謝罪する内容も軽めのものと考えておきましょう。