ビジネスではミスや偶然によりスケジュールが重なることがあります。
「重なっており」もこのような場面でよく用いられ、詳しく解説してみたいと思います。
「重なっており」とは?
まず「重なっており」の文法的な分析をしてみましょう。
「重なる」の連用形は「重なり」ですが、接続助詞「て」が付くパターンだと「り」が小さい「つ」に変化します。
これがいわゆる「促音便形」で、「重なって」という形になるのです。
さて、最後の「おり」ですが、「いる」の謙譲表現「おる」の連用形であり、後続の文章と接続(助)詞なしに接続できる「(連用)中止法」の形になっています。
また、この場合「おる」は、謙譲表現にする前の「いる」同様に「補助動詞」として使われていることに注意が必要です。
そして補助動詞「いる(おる)」は、この言葉の直前に動詞の連用形に「て」の形が付くことがルールになっています。
つまり、「重なって」がそれに該当していて、補助動詞「いる(おる)」を使った「〜ている(おる)」というフレーズは、「状態や結果が現在まで続いている」ことを表現できるのです。
これを踏まえると、「重なっており」は「重なっ(た状態が続い)ていて」という意味の謙譲表現になります。
「重なっており」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズは、何らかの理由でスケジュールが重なってしまい、対処が必要なことを相手に説明する場合に用いられる傾向があります。
この場合、こちらは相手に、対処することを「許してもらう」側ですので、続く内容も相手に配慮した表現でなくてはなりません。
例えば、「先日ご案内いただいた会合と営業部会議が重なっており、今回は会合への出席を見合わせていただきたく存じます」と言った具合です。
また、使用頻度は高くはありませんが、スケジュール以外の何かが重なった場合にも使います。
「ご注文が重なっており、片方をキャンセルさせていただいてもよろしいでしょうか」がこれに該当します。
「重なっており」を使った例文
それでは、このフレーズを使った他の例文を見てみましょう。
・『こちらのミスでご予約が重なっており、お客様のご予約時間を調整させていただきたく存じます』
・『心労が重なっており、しばらく休養させていただきます』
「重なっており」の類語による言いかえ
「重なって」は「重複して」や「被って」が類語として考えられます。
つまり「重複しており」や「被っており」という言いかえが可能です。
また、「重なっており」の部分が、続く内容の理由の意味合いも含むことから、「重なっているため」や「重なっているので」という言いかえも考えられます。
これらを踏まえると、全体的な言いかえとしては「重複しているため」や「被っているので」のような言いかえがあり得るでしょう。
まとめ
「重なっており」とは、主にスケジュールが重なってしまった場合に、その解消のため何か対応する必要があることを相手に説明する際の前置きとして使われます。
このフレーズの後に続く内容は、相手に許可をもらってから対応する必要があるため、相手に配慮した表現にする必要があります。