ビジネスにおいては、全てが上手く行くとは限りません。
場合によっては、相手にそのことを事前に伝える必要があります。
「あらかじめご了承くださいませ」もそのようなケースで用いられるフレーズであり、これより詳しく解説していきます。
「あらかじめご了承くださいませ」とは?
まず「あらかじめ」の意味について。
「予め」と漢字で表記されるとわかりやすいかと思いますが、「事前に」という意味です。
「ご了承」は敬語表現にする接頭辞の「ご」が「了承」「りょうしょう」に付いたものであり、「了承」自体の意味が「相手からの申し出を理解し受け入れること」となっています。
「くださいませ」は、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」の命令形が付いたものです。
尚、「ご」に漢語、そして「ください」という並びは、「相手に漢語にあたることをしてほしい」という意味の敬語表現をつくります。
その上で「ください」が「くださいませ」となると、「命令形」の「ませ」が付いているものの、実際には更に尊敬表現を強める形なのです。
つまり、「ご了承くださいませ」という意味は、「申し出を受け入れてほしい」ということを、かなり相手に敬意を表してお願いしているということになります。
全体を通すと、「事前に申し出を受け入れてもらいたい」という意味を強い敬語表現にしているということです。
「あらかじめご了承くださいませ」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでは、本来あるべきサービスや約束の履行を果たせないことがあります。
一方で、そのような事態がある程度事前に想定できる場合に、「あらかじめご了承くださいませ」というフレーズが使われるのです。
相手に状況を正直に伝えることで、情報公開の意味や約束を果たせなかった場合の相手の悪感情を抑えるという効果があります。
よくあるのは、悪天候時に運行している公共交通機関が、乗客にこのフレーズで注意を促しているパターンです。
尚、どちらかと言えば女性が使う表現である点については、頭に入れておく必要があります。
「あらかじめご了承くださいませ」を使った例文
それでは実例を挙げてみましょう。
・『台風の接近により、この先運行中止の可能性があることについて、あらかじめご了承くださいませ』
・『仕入れコストの上昇で、納入価格の値上げの可能性があります。この件についてあらかじめご了承くださいませ』
・『悪天候時には社内運動会は中止いたしますので、あらかじめご了承くださいませ』
「あらかじめご了承くださいませ」の類語による言いかえ
「予め」は「事前に」「じぜんに」や「前もって」「まえもって」で言いかえが出来ます。
「了承」については、「承知」「しょうち」や「理解」「りかい」でほぼ同じ意味が再現可能です。
これを前提とすると、「事前にご承知くださいませ」や「前もってご理解くださいませ」
という言いかえが成立するでしょう。
敬語表現自体の言いかえとなると、「ませ」を取って敬語表現を若干軽くする「事前にご承知ください」がまず考えられます。
同等の敬語表現での言いかえでは、「してほしいと思う」の強い敬語表現である、「いただきたいと存じます」や「いただきたく存じます」による言いかえも可能です。
まとめ
「あらかじめご了承くださいませ」には、相手に事前に約束が果たせない可能性を提示する情報公開の意味と、そうなった場合の相手の感情を和らげる意味があります。
男性が使えないわけではありませんが、女性が使用しやすいフレーズです。