職場で、同僚への伝言を引き受けることはよくあります。
そのような中で「ご用件を承ります」というフレーズも日々使用されており、今回はこのフレーズについて解説していきます。
「ご用件を承ります」とは?
まず「ご用件」とは何かということから押さえましょう。
「ご」が敬語表現の接頭辞ということはおわかりかと思います。
「用件」は「するべき仕事」や「伝言」を意味しています。
次に「承ります」ですが、「うけたまわります」と読み、「承る」の連用形「承り」に丁寧表現の助動詞「ます」の終止形が付いた形です。
「承る」の意味は、「謹んで(つつしんで)拝聴する」や「謹んで受ける」という意味があります。
基本的に「受ける」の謙譲表現とされていますが、「拝聴する」や「いただく」と同じ意味の謙譲表現でもあります。
以上のことから、「ご用件を承ります」というフレーズは、「伝言をいただきます」という意味の謙譲表現と解することができます。
「ご用件を承ります」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが使用されるケースは、基本的に、(その場に)不在の本人の代わりに相手から話を聞く場合です。
そして、本人への伝言を預かる意思があることを相手に伝える意図のあるフレーズとなっています。
例えば、外回り中の同僚に、取引先から会社に電話がかかってきた場合、同僚がその電話を受けてこのフレーズが使われるケースが考えられるでしょう。
「只今、本人が外回りに出かけており、電話に出ることができませんので、私がご用件を承ります」というような返しになります。
もちろん、直接訪問を受けた場合の不在時にも使用可能です。
当然のことですが、「伝言をいただく」ということは、「伝言を本人に伝える」ということも含んでいます。
「ご用件を承ります」を使った例文
それでは、他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『本人に代わりご用件を承ります』
・『ご用件を承りますので、少々お待ち下さい』
「ご用件を承ります」の類語による言いかえ
「ご用件」については、「伝言」もしくは「用事」で言いかえられます。
「伝言」に接頭辞を付ける場合は「ご伝言」となりますが、文法的には正しいとは言え、少々違和感のある語呂となってしまうので、付けない方が良いでしょう。
用事については「ご用事」で問題ありません。
尚、この場合の「用事」は「用事の伝言」という意味です。
また、「承ります」については、既出の「いただく」を使った「いただきます」や「お受けいたす」を使った「お受けいたします」といった形の謙譲表現で代用できます。
以上のことから、「ご用件を承ります」の言いかえ表現は、「伝言をいただきます」や「ご用事をお受けいたします」となります。
まとめ
「ご用件を承ります」とは、不在の本人に代わり、伝言をもらうという意味の謙譲表現です。
言うまでもなく、伝言を受けた後、本人にそれを伝えるという意味も含まれています。