ビジネスでは、クレームや質問への対応次第で将来の成果も変わると言われています。
今回のフレーズも、その対応に関わるものであり、これより詳しく解説いたします。
「問い合わせをいただきありがとうございます」とは?
まず「問い合わせ」ですが、「わからないことや知りたいことを相手に確認すること」です。
「質問」とほぼ同じですが、確認する内容がかなり具体的で、それに対する回答もシンプルなもので済むようなことに使われる傾向があります。
いわば、「質問」の一種が「問い合わせ」であると考えましょう。
また、「〜をいただく」は、この場合「〜をもらう」の謙譲表現として使われています。
連用形の「いただき」の形になっているのは、いわゆる「連用中止法」と呼ばれる、連用形にした部分で一度区切って、その後に接続詞なしに文章を続けることができる技法を用いているためです。
つまり、「いただき、ありがとうございます」という、本来は読点を用いた形と考えましょう。
最後の「ありがとうございます」は、文法的には少し難解です。
形容詞「ありがたし」の連用形「ありがたく」に、「ある」の最上級丁寧表現「ございます」が付いた形の「ありがたくございます」が本来の形です。
ただ、そのままだと言いづらいため、「たく」の部分が「とう」というに発音になった、いわゆる「ウ音便」化しているのです。
意味はそのまま「ありがとうございます」です。
以上のことから、このフレーズ全体は、「わからないことを確認してもらって、ありがとう」という内容を、謙譲表現や丁寧表現を用いて、かなりかしこまった表現にしていることになります。
「問い合わせをいただきありがとうございます」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
通常このフレーズが使われるのは、「お客様担当」や「カスタマーセンター」のような部署です。
また、販売した担当者などに直接問い合わせが行った場合や、専門知識をもった担当者からの回答にも使われます。
そして、このフレーズの後に、具体的な回答内容が伝えられることになります。
具体例として、「問い合わせをいただきありがとうございます。
それでは動作不良の件について回答させたいただきます」といった形での使用が考えられます。
「問い合わせをいただきありがとうございます」を使った例文
それでは、実際の使用例を挙げてみます。
・『この度は問い合わせをいただきありがとうございます』
・『商品入れ替えの件で問い合わせをいただきありがとうございます』
「問い合わせをいただきありがとうございます」の類語による言いかえ
「問い合わせ」は「質問」で言いかえられます。
敬語表現の接頭辞「ご」を付けて、「ご質問」としても良いでしょう。
なお、これは「問い合わせ」の場合であれば「お問い合わせ」となります。
「いただく」は「もらう」の謙譲表現ですが、謙譲表現をつくる補助動詞としての使用もありますので、「〜していただく」の形にした言いかえも考えられます。
この場合は、「質問していただき」や「質問していただきまして」となります。
「ありがとうございます」はお礼のフレーズですから、「感謝申し上げます」とすれば良いでしょう。
以上を踏まえると、「質問していただきまして、誠に感謝申し上げます」が言いかえ事例として挙げられます。
まとめ
「問い合わせをいただきありがとうございます」は、顧客などから質問を受けた場合の返答の際、冒頭に用いるフレーズです。