ビジネスでも状況の把握が正確にできるか否かは、業績や仕事の出来にも関わってきます。
「注視いたします」というフレーズも、状況の把握に関するフレーズであり、これより詳しく解説いたします。
「注視いたします」とは?
「注視」とは、文字通り「注意して見る」や「じっくりと見る」もしくは「見つめる」という意味があります。
ただ、実際の使用においては単に「注意して見る」というより、「何らかの変化や兆候がないか注意して見る」という、更に詳細な意味合いが付け加えられている傾向があることに注意しましょう。
一方「いたします」は、「する」の謙譲表現「いたす」の連用形「いたし」に、丁寧表現を作る「ます」の終止形もしくは連体形(この後に更に続く場合)「ます」が付いた形です。
「注視」する対象は、へりくだるべき相手ではないので、「いたします」は単なる謙譲表現に丁寧表現が加わったものではなく、聞き手に配慮した強めの丁寧表現である「丁重表現」と呼ばれる敬語表現です。
以上のことから、「注視いたします」とは、「(変化や動きがないか)注意して見ます」ということを、聞き手に配慮して伝える表現ということになります。
「注視いたします」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
この表現がビジネスで使われる場面は、状況についての自分の見解を述べる場合や、目上の人からの指示や質問を受けた後の返答や応答の際であることが考えられます。
まずは見解を述べる場合の具体例から。
「国内景気の先行きが弱含みであるため、経済指標についてこれからも注視いたします」といった例文が考えられます。
返答や応答の場合の具体例はどうでしょうか。
例えば取引業者の経営状況が悪いという噂があり、慎重な取引をするように指示があれば、「現状は問題ないレベルかと存じますが、ご指摘の件については注視いたします」といった形で用います。
「注視いたします」を使った例文
上記の他に考えられる例文としては以下のものがあり得ます。
・『目まぐるしい変化が日々起きており、引き続き注視いたします』
・『こちらで毎日データを注視いたしますので、データの提供についてはよろしくお願いいたします』
・『その件につきましては、責任をもって注視いたします』
「注視いたします」の類語による言いかえ
「注視」の類語としては、「凝視」や「注目」、「刮目」「かつもく」、「熟視」など、他にも多く存在しています。
また、類語としては挙がりづらいものの、「変化を注意深く見る」という意味では、「観察」もかなり近い言葉と言えるでしょう。
「いたします」については、丁寧度合いを下げて「します」でも、特に問題はありません。
以上のことから、「注目します」や「観察します」が言いかえ表現の候補となります。
まとめ
「注視いたします」とは、「(状況に)注目する」という意味の丁寧なフレーズです。
「いたします」という、聞き手に配慮した「丁重表現」と呼ばれる技法が使われています。