目上の人や仲間内以外の人からご馳走してもらったり、接待を受けたりすることは、多かれ少なかれあるのではないでしょうか。
「身に余るおもてなしをいただき」は、そのような場面で使用するフレーズであり、これより解説いたします。
「身に余るおもてなしをいただき」とは?
まず気になるのは「身に余る」という言葉ではないでしょうか。
「身」とはこの場合「身分」という意味合いであり、このフレーズにおける「身に余る」という表現は、「自分の身分に合うような待遇を超えて」、つまり「身分不相応なほどの高待遇」という意味を表しています。
当然ながら、謙遜の意味も含まれていることに注意しましょう。
一方で「おもてなし」とは、「客人に対する心を込めた接遇や歓待」という意味です。
また、「いただき」は「〜をもらう」という意味の謙譲表現動詞「いただく」の連用形です。
接続助詞や接続詞無しに次の文章や内容を続けるための「連用中止法」という技法を用いる目的で連用形になっています。
以上のことから、フレーズ全体では、「身分以上の高待遇で歓待してもらい」という意味の謙譲表現と捉えられます。
「身に余るおもてなしをいただき」の使い方や使われ方、使うときの注意点
謙譲表現であると同時に、かなり相手に配慮したフォーマルなフレーズでもあることから、「高待遇で歓待してもらった」相手は、単に目上というだけでなく、かなり目上の立場であることが通例です。
例えば、自分の課の課長というレベルではなく、部長や役員クラスなどにもてなしてもらった場合などが考えられます。
外部の相手の場合でも、取引先の場合で考えると、担当者レベルを超えて、少なくともその上司クラスであると見て良いでしょう。
また、「おもてなし」という以上は、単純におごってもらうというよりは、料理または場所などにおいてもそれ相応の金額であることが考えられます。
これらを考慮しないと、バランスの悪い表現となり、相手にかえって失礼になってしまう危険性があることは意識すべきです。
「身に余るおもてなしをいただき」を使った例文や文章
それでは、このフレーズを使った実際にあり得る使用例を挙げてみましょう。
・『今回は身に余るおもてなしをいただき、感謝の言葉もありません』
・『身に余るおもてなしをいただき、大変恐縮です』
・『身に余るおもてなしをいただき、ありがたい限りです』
「身に余るおもてなしをいただき」の類語や言い替え
「身に余る」の言い替え表現としては、既出の「身分不相応な」や「過分な」「かぶんな」、または「身の丈に合わない」などが挙げられます。
「おもてなし」の類語としては、こちらも既出の「歓待」や「接遇」の他、一般的な「接待」でも問題ありません。
「歓迎」による代用も考えられますが、「迎える」という意味合いが強いため、料理などを提供する要素があまり感じられない側面があることに注意が必要です。
以上のことから、「過分な歓待していただき」や「身分不相応な接待していただき」などが言い替え表現の候補となります。
まとめ
「身に余るおもてなしをいただき」とは、「自分の身の丈に合わないほど豪華な歓待をしてもらい」という意味の謙譲表現です。
かなり強目の謙譲表現であるため、使用する相手はかなり目上の立場の場合に限定しましょう。