ビジネスでは、直接的ではなく遠回しに伝える表現がよくあります。
「いたしかねません」はそれに該当する表現技法であり、これより解説いたします。
「いたしかねません」とは?
「しかねる」という動詞がありますが、意味は「〜することが難しい」です。
ほぼ「〜することが出来ない」と同じ意味合いであり、「出来ない」ことを婉曲的な表現で相手に伝える働きがあります。
また、この「しかねる」の「し」は、本来は「する」の連用形「し」であることから、「する」の謙譲語「いたす」を用いた「いたしかねる」で、「しかねる」の謙譲語に出来ます。
さて、今回は「いたしかねません」という形ですが、これは「いたしかねる」に、丁寧表現の助動詞「ます」と否定の助動詞「ん」が、それぞれ活用して付いた形です。
「〜することが難しいわけではありません」という直訳になりますが、これは「本来なら出来ないことを〜してしまうかもしれない」という、ネガティブな意味で使われています。
「いたしかねません」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
ビジネスでこのフレーズが使用されるケースとしては、概ね、自分の側で望ましくない結果が起きてしまう恐れについて指摘する場合です。
例えば、「不景気がこのまま続けば、経営が失敗いたしかねません」で、普通ならば順調な経営が、長期間の不景気で立ち行かなくなる懸念を表現出来ます。
他には、人手不足による品質の低下を懸念する場合、「人手不足が続けば、品質に問題が発生いたしかねません」のような表現も考えられます。
「いたしかねません」を使った例文
それでは、上記の他に考えられる例文を以下に挙げてみましょう。
・『残業過多による睡眠不足が続けば、遅刻いたしかねません』
・『彼ならいたしかねません』
「いたしかねません」の言い替え
悪い意味で「〜してしまうかもしれない」ということを丁寧に表現したフレーズですので、この点を押さえた内容が言い替えに必要です。
・「〜してしまうかもしれません」
図らずも〜なってしまう可能性について説明するフレーズです。
・「〜の恐れがあります」
「〜になる」危険性があると説明する場合に用います。
まとめ
「いたしかねません」とは、悪い意味で「〜してしまうかもしれない」という懸念を伝える丁寧な表現です。