メールや手紙で「お変わりなくお過ごしのことと存じます」という文を見ることがあります。
ビジネス文書ではどういった使い方をするのでしょうか。
詳しく見てみましょう。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」とは?
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」は、「変わり」、つまり変化に「お」をつけて相手を気遣い丁寧な表現にしたものに否定の「なく」を付けたもの、「お過ごし」は「過ごす」の敬語表現、「こと」はこの場合「~である」の意味、「存じます」は「思う」「考える」の謙譲語「存ずる」「存じる」に丁寧語の「ます」をつけたものを組み合わせて一文にしたものです。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」は、いつもと何か変わったところがないとは思いますが、いかがですかと挨拶文の中に相手の安否や健康状態を気遣って入れる文です。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」のビジネスメールや会話での使い方や使われ方、使うときの注意点
では、「お変わりなくお過ごしのことと存じます」はどう使うのが正しいのでしょうか。
個人宛の手紙、文書の構成は、A.頭語(拝啓、謹啓など)、B.時候の挨拶C.相手の繁栄を喜ぶ言葉または感謝の言葉、相手の安否を尋ねる言葉、自分の現状を伝える言葉、D.本文、E.結びの言葉、となります。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」はC.の部分で使われる文の一つで、相手の安否を尋ねるために使われます。
相手のことを聞いた後には、自分の現況も続けて入れるようにしましょう。
例えば『拝啓夜風に秋の気配を感じられる今日この頃、〇〇様におかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
私もお陰様で変わりなく過ごしております』といった文となります。
最後に会った時から、その後変わったところはありませんかということを確認する目的で使います。
頻繁に会う相手というよりは、会ってから少し時間が経過している目上の人、又は社外の人に対して使う文章と言えるでしょう。
注意点としては、相手の現在の状況が耳に入っていて、大変と思われる状態の時はこの挨拶は使うべきではないという点です。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」は基本的には手紙など、文章で使われるフレーズですが、もっとカジュアルに言いたい場合は「お変わりありませんか?」だけでよいでしょう。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」を使用した例文
『○○様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます』
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」は時候の挨拶のあとに続く文章として使います。
個人宛の場合は○○様としますが、印刷して同じ文章を複数の人に送る場合は○○様の部分を皆様に変更すれば大丈夫です。
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」の類語や言い替え
では、「お変わりなくお過ごしのことと存じます」を別の言葉で言い換えるならばどのようなものがあるのでしょうか。
「お変わりなく」の代わりに「お健やかに」や「お元気で」が使われることがあります。
また「お過ごし」を「お暮し」「お暮しのご様子」としてもよいでしょう。
他には「存じます」を「お慶び申し上げます」などとするのも相手の繁栄を喜ぶ言葉として適切なものとなります。
まとめ
「お変わりなくお過ごしのことと存じます」は、手紙や文書の挨拶文において時候の挨拶に続き、相手を気遣い、変わっていない(いつも通り過ごしている)とは思いますが、その後の様子はどうですかということを確認するための言葉です。
相手に尋ねたら、自分の現在の状況も続けて伝えましょう。