ビジネスシーンでは感謝を表す表現は多く、この「ご連絡いただきありがとうございました」もその1つです。
ありがちなフレーズではありますが、これより詳しく解説してみたいと思います。
「ご連絡いただきありがとうございました」とは?
このフレーズのポイントとなるのは、「ご〜いただく」の定型表現の部分です。
「ご〜いただく」は、「〜してもらう」という意味を表す謙譲表現のパターンなのです。
「連絡している」のは相手ですが、「自分が相手に連絡してもらう」という観点の表現ですので、「いただく」は自分が主体となる謙譲表現になります。
更に、「いただく」の連用形「いただき」の形になっていますが、これは文を一度切った上で、接続詞を使わずに次の内容を続ける「(連用)中止法」と呼ばれる手法が使われているためです。
ですから、正確には「ご連絡いただき、ありがとうございました」と読点が入る形になります。
-1 「ありがとうございました」の文法的な解釈
「ありがとうございました」は、「ございます」の連用形「ございまし」に、過去や完了を表す助動詞「た」が付いた形であることをまず押さえておき、ここからは「ありがとうございます」という現在形の「原型」で考えていきます。
実はこの「ありがとうございます」は、感謝を表す形容詞である「ありがたい」の連用形「ありがたく」に「ある」の最上級の丁寧語である「ございます」が付いた「ありがたくございます」が更なる本来の形になります。
しかし「言いづらい」ため、「く」の部分がいわゆる「ウ音便」により「う」に変化し、「ありがたう」が古語の読み方通りの表記「ありがとう」に変わったものなのです。
以上を踏まえ、このフレーズの全体的な意味は「連絡してくれてありがとうございました」を謙譲表現にしたものとなります。
「ご連絡いただきありがとうございました」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズがビジネスシーンで出るケースとしては、「自分が相手に連絡してくれるよう依頼していた場合」か、「相手が自発的に自分にとって必要なことを連絡してくれた場合」の2つのパターンが考えられます。
いずれも、自分にとっては「ありがたい」話ですから、このフレーズが使われるのです。
「ご連絡いただきありがとうございました」を使った例文
それでは実際に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『この度はご連絡いただきありがとうございました』
・『すぐにご連絡いただきありがとうございました』
「ご連絡いただきありがとうございました」の類語による言いかえ
「連絡」の部分の言いかえとしては、具体的な連絡手段である「電話」や「メール」などを使った表現が考えられます。
「お電話いただきありがとうございました」や「メールいただきありがとうございました」という形です。
また敬語表現そのものの言いかえもあり得ます。
具体的には、「(自分が相手に)〜してもらう」という観点の「ご〜いただき」という謙譲表現が、「(相手が自分に)〜してくれる」という観点の「ご〜くださる」という尊敬表現に言いかえられることを利用します。
この場合、「ご連絡くださりありがとうございました」となります。
まとめ
「ご連絡いただきありがとうございました」は、相手が連絡してくれたことに感謝している内容を、謙譲表現と丁寧表現を使って表したものです。