手紙やビジネス文書などで「まずは書中にてお礼申し上げます」という言葉を見ることがあります。
いったいどんな時に使用されるのでしょうか?解説していきます。
「まずは書中にてお礼申し上げます」とは?
「まずは」は、「とりあえず」という意味です。
「書中」は、「しょちゅう」と読みます。
「書中」、つまり文書、書面の中という意味です。
「にて」は格助詞「に」と接続助詞「て」で、手段や方法を表しており、〜によって、〜でという意味になります。
「お礼申し上げます」は、相手に対し感謝の意を示しています。
これらを一つの文章にして「まずは書中にてお礼申し上げます」とすると、「すぐに直接会って言えないので、取り急ぎ文章の中でですが、ありがとうございます」という意味になります。
「まずは書中にてお礼申し上げます」のビジネスメールや会話での使い方や使われ方、使うときの注意点
では、「まずは書中にてお礼申し上げます」が使われるのはどんな場面においてでしょうか。
「まずは書中にてお礼申し上げます」は、書面、とくに手紙の中でお礼を伝えるために使われます。
「書中」とあるので、メールでお礼を伝える時には使われることはありません。
メールの場合は「まずはメールにてお礼申し上げます」に変えましょう。
そして「まずは書中にてお礼申し上げます」は当然、口頭でお礼を伝える場合には使いません。
「まずは書中にてお礼申し上げます」は、基本的に直接会う機会が少ない目上の人にお礼をするシーンで使われることが多いです。
なかなか直接会って言えない場合に使うわけですから、すぐに出向かなければならない場合に使うのは不向きです。
使うのは書面で伝えても問題がないということを確認できる場合のみにしましょう。
「まずは書中にてお礼申し上げます」を使用した例文
『今後とも貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。まずは書中にてお礼申し上げます』
『暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。まずは書面にてお礼申し上げます』
「まずは書中にてお礼申し上げます」は、お礼の挨拶の締めの部分に使われます。
文書でお礼をする場合、初めに時候の挨拶(拝啓時下ますますご清栄のことと~など)、続いて日頃のお引き立てに対する感謝の挨拶、そのあとに今回のお礼と相手に対する心づかいやこれからもよろしくお願いしますという挨拶、その後に「まずは書中にてお礼申し上げます」が使われます。
「まずは書中にてお礼申し上げます」の類語や言い替え
では、「まずは書中にてお礼申し上げます」の別表現にはどんなものがあるのでしょうか。
「略儀ながら」や「略儀ではございますが」という言葉を「まずは」の前に付け加えることもよくあります。
これらは「省略したやり方で申し訳ありませんが」という意味で、実際に会ってお伝えすべきところを書面でお礼を申し上げます、ということになります。
また、「書中にて」の類語には「書面にて」や「書中をもちまして」があります。
一つ注意したいのは、「書面をもちまして」とした場合、その後に「お礼を申し上げます」が続くことはなく、「書面をもちまして」は「挨拶とさせていただきます」や「挨拶に代えさせていただきます」という文の方が使われます。
「書面にてお礼申し上げます」のほうが自然な文章となります。
まとめ
「まずは書中にてお礼申し上げます」は、主にビジネス文書、手紙でよく見られる文です。
挨拶文の締めの言葉として使われ、いますぐ直接会っては言う事ができない相手に対して取り急ぎ文章上で感謝の気持ちを表す言葉です。